october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

産後九ヵ月半

六月末の水曜日の夜、ミルクを飲んでいた娘が突然勢い良く吐いた。めちゃくちゃビックリしたが、本人も顔の半分を吐いたミルクで真っ白にしたまま唖然としていて、慌てて抱き上げると更にごっぱごっぱ吐いた。ちょっと焦ってしまって、そのまま風呂場に直行して(熱はなさそうだったので)シャワーで洗い流した。吐き終わった娘はケロっとしていたが、体を拭いて新しいパジャマを着せて、麦茶を飲ませようとしたら両手で押し戻すように拒否をされ、どうしたのかと思ったら再び吐いた。(間一髪タオルで受け止めることができた)そのまま背中を摩って落ち着くのを待っていたら、最後にもう一度吐いて、そこで治まった。熱は無く、下痢も無く、吐いたものには(その日から開始した)保育園での離乳食の人参が未消化で残っていたので、家の離乳食よりきり方が大きいから消化不良を起こしたのかなぁと思った。翌日の木曜日は大事を取って休ませ小児科に連れて行くと、胃腸炎の可能性は否定できないけれど元気なら大丈夫でしょう、とのこと。実際、その日は元気いっぱいで形状を1ステップ戻した離乳食も良く食べ、ミルクも良く飲み、金曜日には元気に保育園に行った。

(私に)異変が起きたのは金曜日の昼前だった。どうも腹を下しているようだ。会社のトイレとお友達が解消できない。それどころか微妙に気持ちが悪い気がする。いやいやまさか、そんなはずはない。昼ごはんも普通に食べれたし、これはきっと大丈夫。と信じたかったが、午後になるにつれどんどん具合が悪くなってきた。16時まで待てばフレックスなので帰ることができたが、14時半を過ぎた頃から、これは16時まで待ったら帰宅途中に大惨事を起こす可能性があるぞ、と察し、15時で早退した。それからは端的に言ってJIGOKUだった。実家の母に保育園お迎えを依頼して、夫には早く帰ってくるようにお願いして、私は水すら飲めず熱も高く頭も腹も腰も痛く、娘よりずっと重い症状で倒れた。娘は元気だった。それだけが良かったけれども。土曜に近所の内科で点滴を打ってもらって薬を飲んだら熱も下がり、かなり楽になった。すると今度は夫と母の具合が悪くなり始め、2人とも日曜日は倒れていた。

そんなこんなで胃腸炎で地獄を見た週末だったが、職場のワーママ先輩にその話をしたところ、前に同じく胃腸炎をうつされて会社早退して帰る途中、一駅一駅降りてトイレで吐いてたことがある、と聞いて震えた。子から移る病気はどれもかなり強烈だ。今は娘が少しでも咳き込んだり鼻水が出てたりすると、葛根湯を予防投与で飲むようにしている。でもさー、突然吐かれたら、吐いたものまみれで呆然としている娘を放置してハイター取りに行ったりできないよ……抱き上げて背中さすさすしちゃうよー!と思った。母道はなかなか修羅い

10ヶ月が見えてきた現在、娘はずりばいとはいはいを駆使しながら、家中を縦横無尽に動き回っている。一度、家から小さな紙の欠片をモグモグしていたことに、保育園のお昼寝明けのミルクまで気づかなかったというびっくり事件があり(飲み込まなくて本当に良かった;;)娘をリビングから出ないようにする柵というか仕切りを買った。しかし冒険したがりそこから出せ出せとバシバシ叩くので、家事で手が離せない時以外は開けてやり、家の中を自由に冒険する娘の後をついて回っている。スピードも速くなってきたので気をつけないとあっという間に危ないものに手を伸ばしそうになったり伸ばしたりするので、本当に目が離せない。ハアハアと激しい息遣いが聞こえてきたら、何かよからぬことをしている時なので、慌てて姿を探す。つかまり立ちも始まった。まだヨロヨロしているけれど、あっという間につたい歩きになるんだろうな。歯は今のところ八本姿を見せていて、噛まれるとものすごく痛いので、叱ったほうがいいのか悩む。今叱って伝わるのかな。しかし保育園で他の子を齧りだす前に対策しなければ。

一時期ずっと目をかいていてハウスダストアレルギーの可能性もあるよと保育園で言われてパッチテストを受けたら、ハウスダストは問題なかったけど卵白で反応が出てしまった。(目をかいていたのがそれと関係あるかはわからない)卵黄は問題なかったし、卵ボーロもあげていたのでビックリした(ただ卵白単独はまだだった!)けど、先生曰く1歳ごろには治る可能性も高いから、その頃また検査しましょうと言われた。

離乳食は現在カミカミ期とやらで野菜のサイズとか少しずつ大きくなってきた。けっこう何でも良く食べる。嫌いなものは無くて、バナナとパン粥とハイハイン(赤ちゃんせんべい)が好き。スプーンだと途中で飽きて拒否しだすが、つかみ食べだと全部食べてくれるので、豆腐の野菜おやきや卵白を使わない蒸しパンを作って一口大にしてあげている。手渡すと嬉しそうに上下にぶんぶん揺れるのでかわいい。

最近生活が少し落ち着いてきたというか、まわし方がわかってきたので少し余裕が出たのかわからないが、精神が安定している。そして、とにかくもう娘がかわいい。胸の内側に常に温かい多幸感を生じさせる物質がどっぱどっぱ流れてくる蛇口が出来たみたい。10代の頃の片想いの時に味わったようなあの多幸感に似たアレ、娘に対する愛情で味わっている。一般的に子育てって苦労話のほうが多く出回ってて「まあ、それでも子どもはかわいいけどね」で〆られることが多いが、その「かわいい」がこれほどまでのものであったとは、恐れ入った。かわいい、とか一言でいいのか。尊いとか、むり……とか、今こそ使うべきじゃないのか。でもどんなに語彙を尽くしても、全部は表現はできない。「子ども産んだらいいよ」とか「子を産んだらわかるよ」とか、人様に言うつもりは無い。子を産む人生だけが幸福だとはもちろん全く思っていない。ただ「とんでもなかった」という感想だけは記しておきたい。子のかわいさ、とんでもなかった……。

 

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つかまり立ち!2次元移動から3次元移動の世界へようこそ!

 

産後八ヶ月半

もはや産後ではない。四月末に仕事復帰してから、でんぐり返しで丘の上から転がり落ちていくように日々が過ぎていく。妊娠初期の時間の流れの遅さから考えると、体感速度四倍くらい。
 
娘は八ヶ月半ともなるとお座りもしっかりし、重い体でもっちりもっちりとずりばいをし、四本生えた歯でおもちゃやフロアマットをかじかじと齧り、あやせばゲラゲラと笑ってくれる。絵本を読むとページをバシバシ叩き、本を齧ろうとする。夜中に突然起きてサイレンのように泣く。ものすごく大きな声だ。朝の目覚めはよくて、こちらの顔を叩いてくる。メガネをかけると奪おうとしてくる。バブバブ言う。イェイェイも言い出した。両手でバンバンテーブルを叩いて、早く早くとするくせに離乳食は食べたり食べなかったり、気まぐれさんである。毎日毎日顔を見ている筈なのに、三ヶ月前の写真を見るともはや違う顔をしている。赤ちゃんは不思議だ。そして赤ちゃんでいてくれる時期は本当にあっという間なのだと痛感する。
 
仕事には何とか慣れてきた。在宅勤務も混ぜつつ、自分のペースでやらせてもらっている。ワーママが多い会社なのでやりやすい。育休はフルで取りたかったけれど、仕事の勘を戻すという意味ではちょうどよかったのかもしれない。体力が落ちていたので通勤に耐えられるか不安だったのだが、これは少しずつ戻っている気がする。私は自律神経が弱いので、日々にリズムがあるほうが体調が良い。というのを、学生から社会人になった時に痛感したのだが、今回も同じことを感じている。ただ夜勤が増えるといきなりきつくなる。だいたい一晩一回起きるくらいなんだけど、毎晩三回起きるのが続いた時期があって、その時は死ぬかと思った。(ちなみにこれは子によるから、あまり寝ない子のお母さんお父さんは本当にお疲れさまである……)
 
娘は保育園の洗礼をほどほどに受けつつ、大きく体調を崩すことなく通っている。熱は一回週末に出したのみで、4月のならし保育から今まで一度も呼び出されたことがない。鼻風邪はちょいちょい貰ってくるんだけど、メルシーポット(電動鼻水吸引機)でずごごごーと朝夜に吸うと、結構早く治ってしまう。ただこの風邪、親が貰うと激しくて、慣らし保育中に二回、復帰後に一回、私が高熱を出して倒れた。小児科の先生には「今後しばらくはお母さんが月一で倒れるかもしれませんね」という強烈な宣告を受けた。やめて。まだ授乳しているので、咳止めなどの強い薬が飲めないのも辛い。(大丈夫という話もあるのだが、添付文書に思いっきりダメって書いてあるのを飲む勇気は無い)
 
仕事復帰したら通勤で痩せるかなぁと思ったが、ほぼ一日中座っているので太った。エルゴに入れてえっちらおっちらお散歩しまくってた育休時代のほうが運動していたんだな。とっても健康的なBMIで生きている。長生きしたい。

 

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離乳食は今モグモグ期

 

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ずりばいマンは玄関まで辿り着いてしまった。

産後五ヶ月半

すっかり春めいてきた。お散歩コースの公園では桜の蕾みがすくっと膨らんでいて、週末になると人出は冬の二倍くらいに。去年の今頃、まだ膨らまないお腹で不安な気持ちで歩いていた道を、親子三人でお散歩している。一年はあっという間で、不思議な気持ち。そうしたら、妹のように思っていた従妹が妊娠したと報告があった。予定日は10月。去年の私と同じである。今日はあいにくの雨だったけれど、桜の開花宣言が出たそうだ。ずっと東京に住んでいるけど、靖国神社の桜は見に行ったことがない。

ここ数日、産後塵のように積もっていた肩こりが爆発して大変なことになっている。肩は激痛、手足は痺れて、頭痛も出てきて「これはもしや肩こりじゃなくて、脳に何か起きているのでは?」と真剣に悩んでしまったほどだ。私はすぐに「これは何か重大な病気なのでは!?」と思ってクヨクヨしてしまうタイプで、産後もすでに腹痛からの卵巣がんの心配や、乳のしこりからの乳がんの心配を一通りしたのだが(どっちも問題なかった)、とにかく昔からこれが酷かったので、母からは「子どもが生まれたら子どものことが心配で自分のことなんかどうでもよくなるよ、その不安発作みたいな心配性も形を潜めるよ」と言われていた。しかし今は今で「私が今死んだら娘はどうなってしまうのだ……娘のお世話をもっとしたかった……」と悲しい気持ちになってやはりクヨクヨするので、これはもうダメなのではないか!?治らないのではないか!?という、虚しい気持ち。娘のことももちろんすぐに心配になるのだけど、そんな私の心配性を吹き飛ばしてくれるかのように娘は健康一直線で育っているので、今の所気持ちを保って生きている。でもやっぱり心配なので子どもの病気百科のような本はかなり読んでいる。知識はね、あっても無駄にはならないからね。うん。

話が逸れたが、肩こり。辛い。何せ娘が重い。8.3キロくらいある。それを未だに授乳で一日6、7回左右入れ替えながら抱えているし(おっぱいが小さくて添い乳ができないんです)、抱っこもしょっちゅうしているし、お風呂はあまりゆっくり入れないし(といっても半分くらいは夫が入れてくれるので入れている方ではあるのだが)、寝不足もあるし、元々肩が凝りやすいところにあれこれ重なりバキバキである。ラジオ体操を毎日続けている間はマシになったりするのだが、やっぱり根本解決にはなっていなくて、週末くらいから肩の重みで世界が鈍色にくすんでいる。春なのに!!春は好きだが、季節の変わり目は、自律神経弱いタイプには辛い。

あまりにも辛くて、その上心配性が暴走して、母に脳外科に連れてってほしいと言ったら、その代わりに整体に連れて行かれた。そして脳天に鍼を打たれて、全身を揉み解されバキバキゴキゴキしたら、少しスッキリした。肩の重さはあるが、頭痛は消えた。とりあえずしばらく通うことになった。メンテナンスは大事だ。もう娘の抱っこも怖くない。

その娘は今日四回目の予防接種で、BCGをちくちくっとされた。顔を真っ赤にしておぎゃんおぎゃんと泣いていたので「君は世界で一番偉い赤ちゃんだ」「ノーベル赤ちゃん賞だ」と誉め称えていたら、ふてくされて乾かしている間に寝てしまった。その後帰宅してからもずっと寝ていて、授乳の時間も超えて寝ていたので、私はドーナツとコーヒーでゆっくり休憩ができたのだった。本当に君は偉い赤ちゃんだ!目を覚ましたらご機嫌だったので、誉め称え作戦が効いたのかもしれないな。

 

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春だ〜

 

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ベビーカーお散歩 feat. 公園スタバ最高

 

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キリンのソフィーがお気に入りです

産後四ヶ月半

今通っている産後ケアのクラス(赤ちゃんと一緒に参加)では、自己紹介の時に赤ちゃんの月齢ではなく、自分が産後何か月かを言ってくださいと言われる。というわけで、産後四ヶ月と半である。中の人、改め、娘はすくすくぷくぷくと順調に育っており、私は二ヶ月目からは完母になったにも関わらず体重が妊娠前+4キロから減らない。脂肪分が多い食事はおっぱいが詰まるからNGという説を、そんなものは眉唾であるとはね除け唐揚げもケーキもチョコレートも自由に食べ続けた結果、確かに今のところおっぱいは詰まっていないが体重も減らないのである。母乳マジックにはこんな落とし穴があったとは、してやられた気分だ。

パソコンを開き落ち着いて文章を打つ時間が減ってしまい、ブログを書くことができなかった。たまにパソコンを開く余裕があってもベルメゾンでベビー服を買うか、内祝いを購入するので精一杯。携帯で事足りるTwitterばかりしていてそれで満足してしまっているのもあるかもしれない。しかしあとで読み返すにはブログの方が圧倒的に良いから、たまには書きたい。と、思っていたらいつのまにか産後四か月半になっていたというわけだ。

赤子との生活について。あくまで私の場合は、だけど、当初思っていたよりは何とかやれている。産後すぐのころはずっと家に籠っていて何となく鬱々としていたが、今はできるだけやりたいことはするようにしていて、それが楽しい。幸いなことにお散歩すると娘が割と機嫌よく居てくれるので、エルゴで担いでせっせと電車に乗って出かけている。駅ビルにもスタバにも本屋にもコンビニにも行く。二人でショッピング、二人でランチ、二人でお散歩、できることを少しずつ増やして行くのは楽しいし、娘もきょろきょろと色んな世界を見て、知ってもらえたら嬉しい。

親か夫に娘を見てもらって、ちょっと一人で外出することもしている。授乳の合間に行くことがほとんどなので気分的には素潜りしてる感じだけど、ちょっと一人でお茶したり、服を買ったり、友だちとアフタヌーンティーに行ったりした。一度だけライブにも行けたし、三月には観劇も行く。外食が頻繁にできなくなったので、色んな友だちが遊びにきてくれるのも嬉しい。ピザを取ったり、ホットプレートで焼き肉をしたり、パンケーキパーティーや、チーズフォンデュもした。友だちに娘を抱っこしてもらう。色んな人に抱っこしてもらって、幸せだなぁと思う。

ただ、当たり前だけど、産前の自由が100だったら、今の自由は3くらい。美容院行くにも調整がいる。映画館には行けない。ディズニーにもあと数年は厳しいだろう。USJのハリポタは産前に一回行っておきたかった。海外旅行もしばらくは無理だ。何より、週末ごとにパソコン持ってファミレスに籠ってひたすら文章を書くことに没頭するという、人生で最も愛している趣味の時間は、今の所風前の灯である。でもその代わりにかけがえの無い娘という存在があるから大丈夫……とかは、今はまだ言うつもりは無い。娘はかけがえの無い存在であるのは間違いないし、赤ちゃんとの生活は新鮮でおもしろく楽しいことも多いので気に入っているけれど、それはそれ、これはこれ。機会を虎視眈々と狙いながら、今の私にできることと言えば、ひたすらフリック入力のスピードと精度を上げることである。文章が書きたい。とりあえず、こうしてブログを書いてみた。

妊娠中、うごうご動いていた保活は何とか実を結び、四月から仕事に復帰予定である。ますます時間は無くなるけど、通勤時間と昼休みは一人の時間が確保できるな……と、静かに思っている私であった。

 

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四ヶ月半経って、首が座りました。