october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

妊娠初期の記録

妊娠発覚した時の話と、初期の体の変化についての記録。割と生々しい話もしているのでご注意。

1月後半、妊娠発覚する一週間前より日中猛烈な眠気に襲われていた。それまでも仕事中、昼食後の14時くらいに猛烈に眠くなるなんてことはあったけど、例えばデスクの引き出しから何かを取り出そうとして開けたまま数分意識を失っているだとか、そういう意味不明の眠気は無かったのでビックリした。昼休みに昼寝をすることで何とか凌いでいたけど、冬だからなのか、それとも年だからかな?と思っていた。それと突然便秘したのも、おかしいなと少し思っていた。もう十年くらいラブレを飲んでいて便秘知らずだったのである。

1月の最後の月曜日の夜、風呂で血が出た。「あー生理きちゃった」と普通に思って、その週は普通に酒をガンガン飲んでしまった。夫の誕生日で海鮮の美味しい店でガッツリうにいくらを堪能したし、金曜日は友だちと馬刺食べに行って芋焼酎も飲んだ。ただその日の帰り道、飲んだ量にしては具合が悪くなって途中で電車降りてタクシー帰りをした。その時も二十代ならこんなの余裕だったのに、やっぱもう年だわ……と思っていた。

翌土曜日、私は近所の駅にある有料自習室で趣味の文章を書いていた。そしてその最中に突然ふと「月曜の夜に出血したっきり、生理きてなくない?」と気付いたのであった。遅い……と言えば遅いのだが、三十超えたら生理がスロースターターになって最初の数日はあまり出血しなくて、後半に本格的に始まる(全体が終わるまで9〜10日前後)という状態になっていたので、今回もそれだと思っていたのだ。確認の為にトイレに行ったけどやっぱり出血していない。どうなんだ。何なんだ。とモヤモヤしながらもその日のノルマを書き上げて、駅に戻ったのは夕方の16時頃。夜には両親と夫と飲みに行く予定が入っていたので、その前に白黒付けなければと、駅前の薬局で検査薬を買い駅ビルのトイレで確認したところ、陽性反応が出た。2016年2月6日のことである。

2015年の夏前くらいから妊活をしていて、期待して検査しては陰性というのを繰り返していたので、最初に思ったのは「陽性ってほんとに出るんだな」ということであった。しかし一気に陽性だ!こんにちは赤ちゃん!ハッピー!ヤッピー!という気分にならなかったのは、化学流産のこと、初期流産率の高さ、流産してしまった友だちや同僚の話、子宮外妊娠のことなどがざっと頭をよぎり「喜ぶにはまだ早いのだ」という、心配性俺にマウントを完全に取られたからである。ともかく、夫にだけは告げようと想い早めに待ち合わせの店に来てもらった。そしてとりあえず「喜びすぎないこと」と「どっちの親にもまだ言わないこと」それはそれとして「嬉しいね」という気持ちを確認したのだった。なお、この晩はもちろん酒は飲まなかったのだが、勘のいい母は何だか怪しいと思っていたらしい。

週が明けて月曜日の朝にかかりつけのクリニックに行ったが、まだ胎嚢の確認が出来なかった。それどころか、検査試薬でも上手く陽性が出なかった。先生は「自己チェックで出たなら間違いないでしょう」と言ってくれたんだけど、不安になって一気にしょんぼりしてしまった。やはりぬか喜びだったのか……?いやしかしまだ生理は来ていないし……。と、もやもや。計算してもらったところ、その次点で4週3日、予定日は10月14日と言われた。2月の頭に10月はあまりに遠くて現実感が無かった。胎嚢が子宮内に確認できたのはその翌週の月曜日。やっと最初のステージクリアだ!と、安心したのと、どうかそこにしがみついててくれと願うばかりであった。そして今更だが1月末の月曜日の出血は、着床出血だったみたい。2016年2月は、ここ20年くらいで最も時間の進みが遅い日々だった。胎嚢が確認できてから直属の上司には打ち明けた。

体調について。結論から言うと胃腸系にくるつわりは全くなかった。いつくるか、いつくるかと妊娠5週まではひやひやしていたが、6週後半ぐらいから「これはもしかしたらこないのでは……?」と思い始める。突然来た時の為に枕元に洗面器を置いてみたが、埃が溜まって行くだけであった。重いか軽いかは置いておいてつわりは来るものだろうと思っていたので(こない人がいるのは知っていたが、まさか自分がそっち側だとは思ってなかった)妊娠発覚から割と好きなものばかり食べまくってたんだけど(いつ食べられなくなるかわからないと思ったので)、流石に7週に入った次点で止めた。同僚の経験者はつわりが重い人が多かったので後々打ち明けると「そんな人本当にいるんだ!」と驚かれた。私もビックリだよ。つわりがこなかったので2月3月に予定していた遊びは遠征以外は大体行けたし、約束していた文章は全て書くことが出来た。これは運が良かったと思う。

ただつわりがなかったとは言え、妊娠前とは体調は全く違っていた。吐き気はなかったが、怠さと眠気、そして気持ちのアップダウンが本当にすごかった。元々PMSの時は気分の乱高下が激しいタイプなのだけど、それの更に激しい+終わりの見えないバージョン。妊娠は一分後にはどうなっているかわからないし、話を聞いてくれる人は夫しか居ないし、友だちにも言えないし、この先自分がどうなるのかとか、好きなものをどれだけ諦めなきゃいけないのかとか、そのへんの心の整理の付け方だとか、付けたら付けたで妊娠がダメになってしまったらどうしようだとか、もう本当にめちゃくちゃなんだけど、とにかくイライラしていてモヤモヤが続いた。全妊娠期間を通じてもこの頃の精神状態が一番キツかった。Twitterアカウントを消してしまうくらい辛かった。心拍が確認できてから信頼できる同僚(先輩ママ)や、ごく一部の友人に打ち明けてから少し楽になった。

妊娠初期は体温が上がるので常に微熱っぽくて、怠くて、疲れやすかった。妊娠は職場では上司と一部の同僚以外にはまだ言っていなかったけれど、集中力が全く持たなくていつも16時くらいになると頭が働かなくなって何も出来なくなってしまう。仕方がないので引き出し片付けたり、書類断捨離したりと、そういうことをして凌いでいた。

妊娠三ヶ月後半になると、少しずつ妊娠という状態にも慣れてきて、気持ちのアップダウンも落ち着いてきた。12週を過ぎれば流産の確率はガクンと下がる。4月1日がその日だったので、まさに春を待ちわびていた感じだった。

 

桜が咲く頃にやっと気持ちが安定した。