october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

虐殺器官

今日は夫が休みを取り、映画おしりたんていに連れ出してくれたのでひたすら仕事をした。集中できるクラシック、などというプレイリストをかけながら本当にもうひたすらに。全力で仕事をするのは割と楽しい。お盆で人も少ないから邪魔も入らない。それでも週の半分は休んだもんだから全然終わらない。むしろ週末も交互にちょいちょい仕事するくらいがいいのでは?など思う。感染に怯えるのも、暗いニュースに胸を痛めるのも、登園自粛も、終わりが見えないのが辛い。夫が一日中、何回も何回も「雨は嫌だなぁ」と繰り返すので「どのみち月曜日までは降り続くらしいから、雨の話題はもうおしまい!」と心の狭いことを言ってしまった。口に出して楽になることもあろうに。でもな、もうこれ以上の憂鬱のふりかけはおしまいにしましょう。娘と明日クッキーを焼く約束をした。なかしましほさんのレシピがサクサクで美味しくできるのでお気に入り。冷凍庫にある秘蔵の焼き菓子用チョコチップを使おうかな。

 

オーディブルで。

いやー、ナレーション最高でしたな。淡々としていてほとんど感情を出さない朗読なのに、たまに心の揺らぎがあるのがたまらなく良かった。淡々と地獄に地獄を重ねる地獄。クラヴィスのルチアへの執心の意味があまりピンと来なかったんだけど、それは地獄の中で見出された偽りでも真実でも何でもどうでもいいただ一つの光の糸のようで切なくもあり虚しくもあった。クラヴィスの感情を追っていると透き通る深海のようなかなしみが鈍磨していく心地よさがあり、それは麻酔のかかった唇をなぞるような不思議な感覚だった。しかし、人がたくさん死んだ。