october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

こころ/夏目漱石

咳喘息みたいな状態になってしまって、夜は咳で眠れなくて困り果てたりしていたけれど、吸入の薬を貰ったり、展示会の会場担当の仕事をやさしい同僚が変わってくれたりと(仕事を交換したとも言うが)、割と家で静かに過ごすことができたので、体調は少しずつ戻ってきた。気がする。

今日はお天気も良かったのでランチに隣駅の素敵なレストランに夫と散歩がてら食べに行った。見た目も素敵で美味しいごはんは心の栄養にもなるなぁと思った。なんてことないおしゃべりも一緒に。今年の夏の旅行はまた多分海の近くの貸別荘に行くことにして、甥っ子も連れていくので賑やかになるね〜などと話をした。

日曜日からちょっと関西に行く。久しぶりに四人でランチを食べて、それからCoccoのツアーファイナル。翌日はドライブをする予定。楽しみ。

 

こころ (新潮文庫)

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あなたはそのたった一人になれますか。

親友を裏切って恋人を得た。しかし、親友は自殺した。増殖する罪悪感、そして焦燥……。知識人の孤独な内面を抉る近代文学を代表する名作。

鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生"と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。

高校生の時以来の再読。高校生の頃に読んだ時はほんっとにピンと来てなくって、だからあんまりよく内容を覚えていなかった。同じ課題図書で読んだ中だと安部公房が好きすぎてそっちばかり読んでたのもある。でもこころでBLに目覚めたみたいな話も割とよく聞くので、別にそういう視点で聞こうと思ってはいないが、それもありうるのか?ということは一応心に留めながら読んだ。こころだけに。それがありうるだろうというところまでは理解はできたけど、それが個人の琴線に触れたかというとそうでもなく。これはただ先生という一個人の心の内面が独白という形で細やかに描かれているというだけといったらだけなんだけど、この本が出た当時のことを考えると、今よりも全然弱さを吐露できなかった人間たちの間では、本当は決して見ることができない他人の内臓を目にするような、そして自分と全く同じなんだと驚くような、そんな作品だったのかなぁ、なんて思った。再読は、初回よりはずっと面白く読んだ。