october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

がん-4000年の歴史-/シッダールタ・ムカジー

週末は運動会。初夏の運動会は空気も清々しくて、地面も熱を持っていないので気持ちよかった。うちの一年生は朝緊張からか行きたくないなどと言ってごねたものの、本番でこちらを見つけると嬉しそうにニコニコ手を振って、かなりノリノリでポンポンを振りながらダンスを披露していた。一年生はダンスと玉入れ。玉入れはめちゃくちゃにワーワー投げる一年生たちもかわいいし、玉をぼこぼこ浴びながら籠の棒を懸命に支えている上級生の子どもたちも愛おしかった。赤組が勝ち、子は大喜び。保育園時代は年中でも年長でもリレー負けちゃった方のチームだったので、やっと本番でチームの力を合わせた勝ちを味わえて良かったね。

今日はずっと書き物をしていた。先週、仕事で飲み会続きだった夫が、何やら風邪っぽく体調が悪いと言う。心配よりも先に、えーっ!?困ったなって気持ちになってしまうのは、コロナになってから本当に嫌だなぁと思う部分でもある。

 

オーディブル

ピュリッツァー賞&ガーディアン賞受賞! 各界で絶賛を浴びた傑作ノンフィクション

紀元前から現代まで、4000年にわたって人々を苦しめてきた「がん」。古代エジプトの医師イムホテプが「治療法はない」と述べたその腫瘍を、医聖ヒポクラテスは「カルキノス(「カニ」)」と名づけ、19世紀の外科医は「あらゆる病の皇帝」と怖れた。患者、医師たちの苦闘のドラマを通して、謎めいた病魔の真の姿を浮かびあがらせ、ピュリッツァー賞ほか各賞を総なめにした傑作ノンフィクション。

 

それぞれの時代の戦いに、感動しつつも戦慄した。どんなに軽い状態でも徹底的にそれこそ鎖骨まで切り取ってしまう乳がん完全根治手術の時代とか、煙草会社との長い長い戦いの歴史だとか、がん研究に注目を得るための徹底的に政治的なキャンペーンムーブメントだとか、映画「奇跡のちから」にもあったハーセプチン開発の裏側の話だとか、がんの起源から今日までの戦いの多大なる軌跡が記されている。特に乳がん根治手術の流れのところ、途中から患者(女)の声を聞かず適切な効果測定もせず弊害ばかりなのに強行して医師派閥同士のメンツ戦争になっていく流れが、女性の意思軽視の時代の一端をまざまざと見せつけられた思いだ。本当に酷かった。

どれだけの死と希望と絶望と苦しみの果てに、今の治療があるんだ、と途方に暮れる。そしてこれから先も続いて行くのだ。慢性骨髄性白血病に対してグリベックがもたらす寛解のように、他のがんにも希望の光となる治療の選択肢が増えますように。