6月にこの記事を書いたが、子どもの周期的な発熱はまだ続いている。
今年の3月から数えて、前回で11回目。ほぼ3週間ごとにやってくる。少し慣れてきたとは言えやはり精神的にも生活的にもなかなかキツい。今は両親共に完全在宅勤務で、近所に住む私の親のサポートもあるので何とかなっているが、去年の状況だったら本当に大変だったと思う。
そして前回の記事では違うかなぁと否定したが、今はPFAPA症候群を疑っている。
こちらの記事がとても参考になって助かった。
そして、いつものMSDマニュアル(家庭版)
PFAPA症候群の特徴を搔い摘んでまとめると以下のような感じ。(注意:私はただの素人なので詳細な医療情報は上記サイトを見てください)
PFAPA症候群の特徴
・周期的な発熱
平均1カ月周期・平均4日程度の発熱を何度も繰り返す。
40度を超えることもある。
咳や鼻水などの風邪っぽい症状はない。
・咽頭炎、扁桃炎
白苔の付着が見られることが多い。
・頚部リンパ節炎
・アフタ性口内炎
・CRPが高値
・熱が無い期間は元気、発達に影響がない
・3〜4歳で発症することが多く、10歳前後で自然に治ることが多い
・診断の決め手となる検査は無い
うちの子はというと、3月から3週間前後で周期的な発熱(最大39〜40度)が続いており、いずれも上気道感染の症状(咳、鼻水)がほぼ見られない。CRPと白血球値の上昇があるが、抗生物質はほぼ効かない(6月の記事ではミノマイシンは効いた気がしたが発熱期の後半だったので自然解熱の可能性もある、前半に出るメイアクトは効いたことがない)、頚部リンパ節炎が見られる、などの特徴がある。頭痛がある、下痢は軽いのが一度だけ、嘔吐や発疹は一度も無い。
喉は少し赤くなるがそこまで腫れることはない……という感じだったか、前回(11回目)の発熱では扁桃炎に白苔も確認された。どうやら首のリンパ節炎が出やすいみたいで、熱がない時期でも「首が痛い」と言うことがあり、整形外科がある近所の総合病院に掛かった。その流れで、現在はかかりつけの小児科ではなくそこの小児科で見てもらっている。
ちなみに熱がない期間はとても元気だ。発育もしてるし、背は高いほう、食欲もある。
PFAPA症候群は遺伝する傾向があるようなのだが、私も子供のころ特に3歳から6歳までの間、毎月のように扁桃を腫らせて熱を出していたと聞いている。
PFAPA症候群だった場合、プレドニゾロン(内服ステロイド剤)の単回服用がとても良く効くらしい。また(何故かはわかっていないらしいが)H2拮抗剤という種類の胃薬(有名なのはガスターとか)の、シメチジンの服用で発熱発作が抑制できる場合がある。あと本当に症状が重い場合は、外科手術で扁桃を取るケースもあるらしい。
前回の11回目の発熱では、予めもう一度血液検査をしましょうと言われていた。そしてCRP値が高かったため、いったんは抗生物質が出たが効かず(熱が下がらず)、発熱4日目、2度目の受診の際に、これまでの発熱&症状の詳細な記録を作りプリントして渡して、PFAPAを疑っていることなどを伝えた。これが割と良かったのだと思う。話をちゃんと聞いてもらえたし、その先の検査にスムーズに進むことができた。
ほかの病気の可能性を潰すために、顔面のレントゲンを撮り(副鼻腔炎を否定)、頚部リンパの腫れに対してはエコーを撮って病的なしこりがないか・化膿していないかを確認し、尿検査をし(尿路感染を否定)、詳細な血液検査で白血病その他の重い病気の可能性を排除した。そして最終的に、プレドニゾロンが処方された。服薬してから1時間で熱は平熱まで下がり、そのまま完全に解熱した。
今はシメチジンを処方してもらって飲んでいる。まだ飲み始めて2週間なので、本当に効くのか、つまり、発熱発作を抑える効果があるのかはわからない。プレドニゾロンは本当によく効いたけど、ステロイドは強い薬だし、発作周期を短くする副作用があるため、できれば飲まないで済ませたい。どうかシメチジンが効いて発熱の頻度が減ってくれたら良いなと思っている。
この11回目の発熱まで、何度も「PFAPA症候群かな?違うかな?」と逡巡した。医師に聞くと「違うと思います」と言われることがほとんどだった。まあ、確かにPFAPA症候群は決め手となる検査はないし、多くは成長とともに後遺症もなく自然寛解する病気だ。発見されたのも比較的新しくて、本当に典型的で重い症例以外はなかなかそうだと認めるのも、積極的に投薬するのも、躊躇われる……という空気を少し感じた。
万が一重い感染症だった場合、ステロイドを飲むのはとても危険だというのは作用機序から考えても素人でもわかるし、それを確認するために発熱のたびに血液検査をするとなれば子の負担も大きい。またシメチジンの予防投与も必ず効くわけではない。効果があるのはせいぜい3割~6割で、効かない可能性はあるということもものすごく念を押された。
まあだからPFAPAだと診断されてもできることは少ないし、軽いなら頻回にひく風邪ともそう変わらず、あきらめて付き合っていくしかない。という感じなんだろう。わからなくはない。
だけど、明らかに風邪(上気道感染)ではなく、また明らかに周期的である発熱に対して、毎回熱が三日過ぎても下がらなくて血液検査→CRP高値で抗生物質(効かない)が、出るのはそれはそれで別のリスクがあるだろう。また病名が付かないということは、親の精神状態にものすごく悪い。だって、どうみても風邪じゃない上に、3週間ぴったりで繰り返しているのに。
「風邪ですね〜」
でも咳や鼻水や……風邪っぽさ何もないのに!
「保育園で風邪をもらってきたんですね」
今コロナで休園中なのに?
「風邪を毎月繰り返すのはよくあることですよ」
わかってるけど、もう6回目だよ?
「まぁ、風邪でしょうね」
でももうこれ10回目なのに〜〜!?
積極的な治療はできないとしても、しないとしても、明らかに周期的な発熱の場合は、PFAPA症候群などの可能性もある、という前提でのコミュニケーションがあったらな、とは思った。たとえ最も重い子ほどの症状じゃなくっても。「風邪を繰り返しているだけです、心配なし!」で、済まされるよりは「PFAPA症候群の可能性もありますので、あとこれが3回繰り返すか確認してみましょうか」とか、そういう話にはできないんだろうか。……と、6月に書いた記事を読みながら、思う。
でもまあ、もやもやと考えてはいたが、そもそも新しく定義された病気だから、他の小児疾患に比べて、わかってないことが多いのだろうし、診たことがある頻度も少ないのかもしれない。発熱記録しかり、できるだけ情報をわかりやすく整理して伝えることを親として心掛けながら、蓄積される知見の一部になれたらいい、くらいの気持ちでやっていこう、というところで気持ちは今落ち着いている。
もしこの記事を読んでいるお母さん、お父さんで、お子さんの周期的なお熱に悩んでいる方が居たら、とりあえず、発熱と症状の記録を付けること、あまりに繰り返すならそれをわかりやすく整理して、プリントアウトして、お医者さんに見せることをおすすめしたい。もし口頭で説明して「風邪を繰り返してるだけ」と言われるだけの場合でも、本当に周期的で、かつ症状も似ている、上気道感染ではないっぽい、などが目に見えてわかれば、お医者さんもまた「おや、これは?」となってくれるかもしれない。PFAPAだとわかったからと言ってできることは多くなくても、毎回「これはなんなんだ」と頭を抱えて絶望するよりは、まだ、何が起こっているかその可能性の一旦を掴めるだけでも、精神的にはものすごく意味があることだと思うので。(少なくとも、私には意味があった)
発熱記録に含めた情報は以下のようなこと。これを発熱1回目〜11回目分まで全部書いた。ついでにエクセルの表でわかりやすくカレンダー的発熱期間の表を作った。
・発熱日/解熱日/発熱期間(例:3/10発熱、3/15解熱、発熱期間6日)
・発熱期間内の最高体温(例:39.6度)
・主な症状(例:リンパの腫れ、頭痛、倦怠感)
・主な無かった症状(例:咳、鼻水、下痢)
・飲んだ薬(例:アセトアミノフェン、メイアクト、ミノマイシン)
・かかりつけ医のコメント、行った検査の結果(CPR値など)
昔から発熱記録に使っているのは、このアプリ。メモもできるので、症状や解熱剤飲んだタイミングとかも書いてる。
6月頃の私のように困り果ててる誰かの参考になったら嬉しい。
(困り果ててる人は居ない方がずっと嬉しいが)
シメチジン、今の所はちゃんと飲めている。副作用も出ていない。
どうか少しでもいいので効きますように。
子どもには苦くて飲みにくいらしいという話は目にしていたが、うちは「おくすりのめたね」を完全拒否するので、一口分のチョコアイスと混ぜている。そして絶対に飲み忘れないように、iPhoneアプリを使って服薬管理している。
余談。
7月に少し鼻づまりがあったので耳鼻科でアラミスト(ステロイド点鼻薬)を出してもらったが、それから発熱期間が4~5日から2日に短縮した(発熱頻度は変わらず)。何か関係あるのかな、とは思っていたんだけど、最近PFAPA関係で調べていたら、アラミストでPFAPAをもつお子さんの発熱頻度が減ったと言っているお母さんが居たので、やはり!?と思った。まあ、n=2ですけどね。
で、前回(11回目)は、いつもの発作周期より三日早かった上に発熱が久々に長引いたんだけど、発熱前の1週間このアラミストを切らしてたんだよね。やっぱり関係あるのか!?偶然!?教えてgsk!