october notes

俳句と小説と服と記録と記憶

光溢れ/Cocco

3月後半〜4月半ばまでは原稿に集中するためにほとんどブログには書いておらず、それからはアウトプットにたどり着かないまま自分の中で反芻ばかりしている日々が続いた。原稿は仕上がらず仕切り直しで(それで誰かに迷惑がかかることはなく)、そんな自分をダメだと嘆くほど幼くもないので、ただ淡々としがみ付いている。今、また書いている。向き合うことをやめないでいる。その姿勢だけが、私に生きている意味をくれる気がする。そんなことを薄ぼんやり考えていたら、もう6月がやってくる。もう今年半分終わるの?みたいな言葉は本当に嫌いなので言いたくなくて、ただこの半年に詰まったありとあらゆる無情に恨み言は言いたいけどそんなことを言ってもどうにもなるでもなく、ただ私は、私の家族と私の大切な人たちとその人たちの大切な人たちが、どうか健康で元気で達者でありますようにいられますようにと祈るくらいしかできない。

私は健康で、今のところ達者でやっています。毎日昼にヤクルト1000を飲んでいるけど、朝の目覚めが最高に良くて気に入っている。悪夢は今のところそんなに見ていない。もともと悪夢を見がちなので、変わりはないというのが正しいかもしれない。

 

ふとしたことで友達に連絡すること。会う機会があったら逃さないこと。友達と会ったら写真を撮ること。何なら写真を日々交換すること。人間ドッグや健康診断に行くこと。毎月乳がんの自己触診を必ずやること。読みたい本を読むこと。聴きたい音楽はいま聞くこと。好きだと伝えること。感謝を伝えること。お手紙の返事を書くこと。着たい服のことを考えること。SNSで乱暴な物言いをしないこと。決め付けないこと。選挙に行くこと。平和に一日終わったことに感謝すること。現在進行形の悪いことがこれ以上悪くならないように祈ること。

 

私の好きな人、最近こまめに連絡を取れていない人も含めて、どうかみんな生きてくれ。幸せでいてくれ。頼む、という気持ちで生きている。それは、あなたであり、あなたであり、あなたであるのだ。

 

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東京ツアー1日目は6月1日、Zepp ダイバーシティ。一緒に行ってきます。

ガーネット

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ガーネット/Cocco

 

4月17日の夜、品川駅ecuteで開催していたポップアップでacute accentさんのガーネットの指輪を買った。自問自答は一ミリもせずに、衝動と情動による買い物だったけど、後悔はしていない。普通の顔をして毎日を生きていくために、なんとかすがりつく藁のような、そんな存在としての、拠り所としての何かが必要だと思ったのだ。浮いたお金があったし。

でも、あきやさん経由でacute accentさんを知っていて、今まで何度かポップアップを覗かせてもらっていたからこそできた決断だとも思う。あの時、真っ暗な気持ちで品川をうろついていた私の目の前に現れたたくさんのきらきらした石たちには感謝をしてもしきれない。綺麗なものにはそれだけで救われる。そこに光があればなおさらだ。誕生石のシトリンとガーネットで迷ったけれど、やっぱりガーネットだよね、と思った。やっぱりガーネットだよね。ね?

 

私は指が太いので、ぴったりの指輪を探すのが苦手だ。今回も中指にも嵌るサイズを買ったら、ちょっとだけ大きい。それが、なんだからしいなと思う。いつもちょっと、大きいからね。愛。

 

さぁ、どこまで走ろうか。

多様性の科学/マシュー・サイド

今、久しぶりに長編小説を書いていて、それはとても楽しいんだけど、長編に取りかかるとほかのことになかなか手が回らず、俳句も作っているし、読んでもいるし、本も読んでいるけど、このブログまでたどり着かない。2年連続で園の保護者会の役員をやることになりそっちも色々と忙しく、仕事も詰まっていて、充実していて楽しいけど、ひいひいする。ひいひい。それでも長編小説を書くのはやっぱり楽しい。多分来月後半は弱音がいっぱい垂れ流されるだろうと思うがそれはそれ。もう桜が咲いている。一年が早い。赤毛のアンオーディブルで聞いているけど、めっきりマリラに感情移入してしまう。

経営者からメディア、著名人までもが大絶賛!
なぜグッチは成功しプラダは失敗したのか。
なぜルート128はシリコンバレーになれなかったのか。
オックスフォード大を主席で卒業した異才のジャーナリストが、
C I A、グローバル企業、登山隊、ダイエットなど、あらゆる業界を横断し、多様性の必要性を解き明かす。
自分とは異なる人々と接し、馴染みのない考え方や行動に触れる価値とは?


【目次】

第1章 画一的集団の「死角」
第2章 クローン対反逆者
第3章 不均衡なコミュニケーション
第4章 イノベーション
第5章 エコーチェンバー現象
第6章 平均値の落とし穴
第7章 大局を見る

才能や知識、スキルがあるからといって成功できるわけではない。
多様な考え方を受け入れる認知的多様性(コグニティブ・ダイバーシティ)を手に入れ、
偏狭なものの見方や盲点にとらわれずに、思考を解放すること。

致命的な失敗を未然に発見し、
生産性を高める組織改革の全てがここにある。

 

最近読んだ本の中で一番面白かった!!多様性か質か、みたいな二項対立の話をしている場合じゃなくて、組織の質のためには多様性の確保が必須ということをありとあらゆる角度から検証・実証している内容。ケーススタディが厚くて面白かった。ただグッチとプラダの例は本当にちょっとしか出てこないので、コピーに入れるのはどうなのか?とは思う。

エコーチェンバー現象の章、元白人至上主義者のデレク・ブラックと彼を変えた大学の友人でユダヤ人であるマシュー・スティーブンソンの話が、色々な意味で印象深く、そして希望の光でもある気がする。

とにかく、ありとあらゆる人に読んでほしいなと思う。

我々は自分と同じ考え方の人、同じ視点や同じ偏見を持つ人と一緒にいることを無意識に好む。その方が気が楽だ。しかもみんなで賛同し合って、自分たちの考えに自信を持てる。頭が良くなった気になる。実際は愚かな集団でしかないのに。

俳句ネプリ よんもじ vol.1

昨夜大きな地震があった。東京は震度4。横揺れで長かった。だんだん揺れが強くなるところだとか、地震自体がおさまってもマンションがずっと揺れているところだとか、2011年の地震を思い出して怖かった。家中のドアを開ける。ついでに寝室を覗くと、夫は起きていたが、5歳児は全く起きる様子がなく平和な顔で寝ていた。その後、風呂は諦め寝ようとしたが寝付きたいのに全然うまく寝付けず焦りばかりがつのり、そして寝付きたいのに全然寝付けず焦りばかりがつのる夢を見た。疲れる。

揺れが強かった地域の人たちの怖さはいかほどだろう。早く落ち着きますように。まだ夜は寒いし、停電もあって大変だったよね。本当にみんなお疲れ様だ。

 

 

よんもじ、プリントしてきました。せっかくなのでカラーで出してみた!滲んだ水彩のデザインがとても好き。

2句ずつ選んで鑑賞を書かせていただきます。エッセイについても少しずつ。

 

フィルター/西川火尖

ネクタイを貸され遅春の会議室
ネクタイを忘れたわけではないのだと思う。本来ならネクタイは要らなかったはずの会議に突然お偉方が来ることになったのか、あるいは、予定外の会議に急に招集されたのか。どちらにしても借り物のネクタイではビシっとは決まらずどことなく漂う間の抜けた感じ。遅春という季語が、フォーカスを緩やかにしている。大丈夫、どちらにしても誰も見ていないよ。

辛夷寿命の違ふ臓器たち
辛夷の花が、体の中にあるひとつひとつの臓器と同じ大きさであるかのような不思議な感覚。臓器ごとに寿命が違うというのは、まるでそれぞれに命と意思があるかのような、おもしろい捉え方で、日々意識する脳や胃や肺や腸や子宮や肝臓も、特に意識しない膵臓脾臓や胆嚢や副腎も大切にしなければなという想いが湧いてくる。そして、できれば誰も心臓より先に逝って欲しくないと願うのだった。辛夷はハラハラと見事に散るけれども。

エッセイ
火尖さんはわりと自分の弱い部分をほろほろと丸出しにする。その、己から半歩くらい引いた位置から書かれる文章は、湿っていて乾いている。セミドライの燻製のような色気と味わいがあって、私は好き。

 

クローバー/藤田亜未

断面は花畑なり恵方巻
恵方巻は(おそらく)本来の食べ方(まるかじり)をしたら断面は見えない。でもうちは関西出身じゃないから普通に輪切りにして出しちゃう。豪華な具材が詰まった恵方巻きは並べてみると確かに花畑みたいだろう。でも黙って丸ごと食べる時はそれを目にすることはできない。花畑がそこにあることに気づいていても、気づかなくても、ただ黙々と咀嚼されていくのみである。シュレディンガーの花畑。

冷凍の浅蜊の呼吸奪われし
日常的に料理をする中で、私が最も命を意識する具材が浅蜊である。そして浅蜊が生きたまま冷凍できると知った時は驚いた。少し残酷なようにも感じたが、どちらにしても浅蜊を買った時点でその浅蜊の運命は決まっている。そもそも肉も魚も心を震わせずに食べておいて、何をいうのも生ぬるい。でも奪われていく命を目の当たりにすることは、淡い衝撃がある。そして浅蜊について考える時、コンビニで売っている真空パックのしめじの味噌汁の説明をした時のイギリス人同僚の顔をいつも思い出す。

エッセイ
本当に大変なことも多い日々なのだろうと思う、けど、淡々とした日記のような文章は冷静であり、優しくもあり、そして日々に溢れる「おもしろみ」を探ろうとする俳人の視線を感じる。

 

――やまおり――/諸星千綾

突いて押す送信ボタン春北風
突いて押す、に感じる強さ。喧嘩をしている相手なのか、それとも戦わなければならない相手なのだろうか。それとももしかして送ろうとしているのは、恐る恐る、押そうかどうしようか迷いながら、最後はやっちゃえ!と人差し指でぽちっとするような、特別な勇気を伴う「言葉」なのだろうか。答えがどちらであっても、送信後は心に色んな温度を孕んだ春北風が吹き荒れるのである。

山折りと谷折りのある春の海
春の海が突然こども雑誌のふろくになったような。世界がいきなり箱庭になったような、とても不思議な、面白い句。「ある」というのがいい。きっと「ある」のだ。じっと良く見ていたら、それが見えてしまう日がくるのかもしれない。

エッセイ
千綾さんの俳句が醸し出す少し不思議な世界観と、丁寧な文章(そして人となり)に少しギャップがあって、それがとてもとても好きです。

 

春動く/池田奈加

パソコンを閉じてはじまる日の長閑
わ、わかり〜〜〜!!作業を終えてもダラダラとネットを見る誘惑からも断ち切って、まだ日の明るいうちからパソコンをパタンを閉じた時の、あの豊かな感覚。まだ世界は目の前にあるという安堵。スマホは見ないで、できればお散歩にでも行きたい。

春動くパントマイミストの起床
パントマイミストという言葉を初めて聞いた。意味はもちろんわかる。パントマイムをする人だ。パントマイミストももちろん朝起きる。でもパントマイミストがパントマイミストとして朝起きることはあるのだろうか。物を言わずに、春さえ動かしてしまいそうな不思議な力も、パントマイミストと言われると納得してしまう気がする。

エッセイ
推しが気になる〜〜〜!!!読んで元気になりました。

 

77/500