october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

肺炎入院日記

9月1日(日曜日)

午後、スーパーで買い物をしている最中になんだか体調おかしいな、と感じる。帰宅して測ると37.2度。旅の疲れで熱が出ちゃったかな、と思って寝る。その日一番高くて38.5度。昔もドイツ旅行から帰ってきた後で、腎盂腎炎を発症したので、もしかしたらそれかもしれない、とぼんやり考える。そして明日から休暇明けで仕事始めなんだけど困ったなぁ〜となる。

 

9月2日(月曜日)

朝から38度超え、仕事ができる体調では無かったのでとりあえず午前休を取り近所のクリニックの発熱外来を予約。コロナの検査(陰性)をした後で、尿検査をすると赤血球・白血球の値がかなり高くて、炎症しているかも、とのこと。私の以前の話をすると、腎盂腎炎用の抗生物質が出される。ネットで検索すると、飲み始めて3日くらいで楽になるとのこと。期待しつつも、熱は最大39.8度。ロキソニンを飲むと大量の発汗と共に37度台まで解熱するが、5時間前後でまた上がる。たくさん水分を取って、たくさん排尿してくださいと言われているのだが、汗でほとんどの水分が出てしまい尿があまり出ない。水はそれでもめちゃめちゃ飲んでいるが、食欲がなくあまり食事がとれなくて、ロキソニンを飲む前にインゼリー半分飲むくらい。これはあまりよくなさそう。時差ぼけもあるのか、夜眠れない。少し咳が出る。

腎盂腎炎は重症化すると入院することも大いにあるので、子に「ママ入院になったらどうする?」と聞いたら「さみしいなぁ」と言っていた。ちなみにどうなったら重症化なんだろう、と調べると「高熱」って書いてあった。……既に重症では?

 

9月3日(火曜日)

全然体調は変わらず、高熱が辛い。点滴をしてもらった方が早く治るのでは、とネットの情報を見て、同じクリニックへ。抗生物質の点滴をしてもらう。体調は月曜と変わらず最悪で、熱は最大39.9度。ロキソニンを飲むと熱は下がるが、やはりまた爆上がりする。咳が激しくなり夜眠れず。バナナとインゼリーで命をつなぐ。水分はやはり大量の汗で出て行ってしまう。

 

9月4日(水曜日)

全然体調は変わらず、高熱。夜中咳が激しくて眠れずに、呼吸も少しおかしいと感じたので、サチュレーションを図りたかったのだけど両手には旅行のために付けたジェルネイルが!死にそうになりながら、明け方に一人で右手の人差し指のジェルを無理やりはがした。このあたりが精神的に一番きつかった。熱が高くて息も苦しくて全然眠れなくて、これ死ぬのでは?という気持ちに。朝一、クリニックが開くと同時にまた来院。点滴してもらおうとすると「大きな病院で見てもらった方がいいと思う」とのことで、点滴をしている間に各所に連絡をしてくださり、紹介状を持たされ、同じ区内の大きめの病院に送られる。
その病院で朦朧としながら、ルートを取られるも脱水状態でほとんど血管が出てこないと言われる。唇もかさかさ。点滴もしてきて、水も飲んでるのに、脱水になるほど汗をかいてる自分かわいそう。その後、血液検査、尿検査、心電図、肺と腎臓のレントゲン、そしてCTを取る。
そして、診察。
「肺炎ですね、入院です」
えー!?腎臓じゃなかったんかーい!
腎臓は問題ないし、尿の値もそこまでじゃないですとのこと。
でも左肺の白い影がかなり広がっているのと、音もするのでこれは細菌性の肺炎です、と。
炎症反応を示すCRPは15。
治療は一日二回の抗生物質点滴。あとは酸素吸引。心電図モニタを付けられ、酸素濃度も常にモニタリングされている、わりと物々しい形になる。点滴はクリニックでもしたけど、何が変わるのかなぁと思ったけど、医師曰く、広範囲に攻撃をする強い抗生物質よりも、肺炎に特化した抗生物質の方が効くかも、とのこと。腎盂腎炎を疑ってたこともあって、私が飲んでいたのは超・強・全体攻撃型抗生物質であったらしい。でも、私の肺炎には、特化型・個別攻撃型抗生物質の方がいいらしい。なるほど……?
まあそれも、効くかどうかはやってみないとわからず、効かなかったり、培養した菌の特長が見えてくれば薬を変えることもあります、とのこと。そして最長で二週間ほどの入院になりますと。マジか。二週間は長いな……。どうか最初の抗生物質が効くことを祈る。
面会は一日二人までOKだけど、小学生以下はNGなので子には会えない。寂しい。
何はともあれ、昨日よりはかなり安堵して寝た。睡眠導入剤も貰った。

クリニックで処方されて飲んでいた抗生物質(錠剤):グレースビット(第一三共
クリニックで受けていた点滴の抗生物質:ロセフィン(太陽ファルマ)
入院した病院で受けていた点滴の抗生物質:スルバシリン(明治)

なお私はクラリスロマイシンで薬疹が出たことがあるので、系統を変えてもらっています。

原因菌を培養するために痰を出すように言われるけど、全然でない。これは、強すぎる抗生物質を飲んでいた弊害でもあるらしい。なんでそんな強い抗生物質なのに熱は下げてくれなかったんだ……??肺の奥までは届いていなかったのかなぁ。

明け方に死ぬ気で剥がした人差し指のジェルネイル。その後反対の手も人差し指だけ剥がした。



9月5日(木曜日)

朝起きてすぐの熱が38.1度。その後はするする下がり、この日はほぼ37度前半で過ごす。かなり体が楽になった。薬が効いたのだろうか。睡眠導入剤を飲んでゆっくり眠れたのも良かったのかもしれない。病院食は米の量が多いのが辛いが、食べたほうが回復が早いだろうと思って頑張って完食を目指す。おかずと米の割合的に米が多すぎる(150g)気がするのだが、味は割と美味しい。温かいのがありがたい。点滴は朝晩の2回。夜はデイルームから夫と子にテレビ電話を掛ける。


9月6日(金曜日)

朝から平熱。祝☆平熱~~!!ずっとつけていた酸素吸入が取れる。シャワーを浴びれるか聞いてみると、私の部屋は月・水・金がシャワーの日なので、今日予約しますねとのこと。聞かなかったら、月曜日までシャワーお預けだった可能性があり、それはかなり辛いので聞いてよかった。院内コンビニまで行き、カフェラテを飲む。回診の際、今後コロナが重症化しやすくなるようなことはあるのか?と聞いてみたけど、多分大丈夫でしょうとのこと。良かった。病院から近いところに住んでいる友人が二人いて、それぞれが週末お見舞いにくるよと言ってくれたのだが、面会は家族に限られているらしい。残念。でもそう言ってくれる友達がいるのはうれしい。

金曜日だから?夕ご飯がカレーで嬉しかった。

カレー

 

9月7日(土曜日)

平熱二日目。朝ごはんに食パンが出る。8枚切りが2枚入ってたあるのだが、かなりパサパサなので1枚でギブ。美味しいパン屋のパンが食べたい、と思ってすみません。無理なのはわかるけどせめてトーストだったらな。「いちご入りミックスジャムが添えられており、裏面の材料をチェックしたら「果物(いちご・りんご)」と書いてあった。りんごのことを思って少しだけ泣く。循環器科に居るのに、古き良きマーガリンみたいなのが付いてくるので、これはいいのかな?という気持ちになる。トランス脂肪酸削減!みたいな最新のやつじゃなさそう。知らんけど。
週末は回診も検査もないので暇である。今日はあきやさんの講演会の日で、その後totonoさん主催のアフターがあり、とっても楽しみにしていたので本当に残念である。私は病院のベッドの上で、制服化(レンタルパジャマ)パーティーをしている。(ひたすらロイヤルマッチ)今日は院内コンビニでブラックコーヒーにチャレンジ。美味しい。子は実家にお泊りとのことなので、夜は母の電話にかける。LINE電話すると、通話時間の半分くらいは変なフィルタを付けてげらげら笑っているだけなんだけど、まあ、それでもいい。夜、ちょっとリベンジ夜更かしをしてしまった。何のリベンジだかは知らないが。

 

9月8日(日曜日)

平熱三日目。入院日に入れてもらった点滴の針(ルート)を入れ替えとのことだったが、新人さんぽい看護師さんで全然入らず。まあ注射も採血も苦手じゃないし、私の体で良ければ練習に使ってくれ、とおおらかな気持ちでいたのだが、4回目に針を刺す時に「三度目の正直いきます!」と言ったので「いや、四度目だよ!!」と心の中で思ってしまった。おおらかさの修行が足りない。その四度目も入らなかった。その後、ベテラン看護師さんにバトンタッチして、一発で入る。後輩の手前、ベテラン看護師さんが見るからにほっとしていたのが面白かった。

経過が良いので酸素濃度と心電図の常時モニタリングが外れて身軽になる。

午後に夫がハーゲンダッツのアイスクリームを持ってきてくれた。病院食は量が多いから、おやつを食べる隙間がないと思っていたのは初期の頃で、もう普通におやつも食べるし何なら病院食足りないよーという気持ちになる。でも完璧に計算されて、一日1600カロリーになっているのだから足りない訳がないのである。ぐぐう。でもハーゲンダッツは食べたいのだ。昨夜のリベンジ夜更かしのせいか、寝る前の検温で微熱があった。慌てて、消灯と同時に眠剤を飲み寝る。

 

9月9日(月曜日)

平熱四日目。ここまでくると、もう大丈夫かなと言う気がしてくる。血液検査とレントゲン検査。私はほぼ回復過程にあり、特に心配いらない若い患者なので(循環器病棟で40代は超🌟ヤングだ)、回診もちょこっと顔を見て、あ大丈夫ねオッケーオッケーくらいの、なんなら立ち話レベルなので、何とか引き留めて退院目途を聞くと、木曜日とのこと。嬉しいけど微妙に遠いな。レントゲンの後シャワーを浴びる。母が夕方あんみつをもってお見舞いに来てくれた。夕飯の直前だったけどあんみつを食べ、そして夕食も完食した。ちょっと胃がバカになっているかもしれない。寝る前、家にビデオ電話を掛けると、子に「もう電話飽きた」と言われて、しおしお悲しくなる。これが自立か……。

 

9月10日(火曜日)

平熱五日目。あ~ペペロンチーノが食べたいな~。木曜の退院のこととかどうなっているのか聞きたかったんだけど、明日説明があると思いますで終わってしまった。尾籠な話で恐縮だが、病棟のトイレットペーパーがかなりワイルドなので尻が荒れてしまって痛い。病院だからと言って何もかもが優しいわけではないのだ。看護師さんはみんな優しいです。でもみんな本当に忙しそうだから、熱が下がった後は、絶対に手を煩わせないように空気になることに徹している。

 

9月11日(水曜日)

平熱六日目。ここの先生はみんな忙しいし元気で回復した私に割く時間はあまりなさそうなので、あからじめ質問事項をメモしておいた。「どういう症状が出たら再度受診したほうがいいのか(→再び発熱、黄色い痰が出る、咳が酷くなるなど)」「禁止事項はあるか(→とくになし)」「お酒と運動はいつからOKか(→いつからでもOK)」「会社に出す必要があるので診断書を書いてください(→了解)」などなど。退院したらまず何がしたいかを考えたが、ひとまずウォーキングに行きたい気持ち。あとは、美味しいラーメンが食べたいですね。

入院してから毎日二回入れていた点滴も、今日でおしまい。どうもありがとう、スルバシリン。抗生物質のある時代に生まれて良かった、としみじみ思う。ちなみにスルバシリンはペニシリン系抗菌薬。フレミング博士もありがとう。ペニシリンは1928年に発見されたらしいので、あと少しで100周年ですね。

 

9月12日(木曜日)

退院日。一人でも帰れるのだが、入院初日に母が私の服を洗濯のために持って帰ってくれていたので、服を持ってきてもらわねば帰れない。ということで、母に来てもらう。お会計は差額ベッド代など諸々全部入れて、(六桁)円。差額ベッド代は4人部屋で一日3300円。ここにパジャマとタオルレンタルが1日690円追加される。さらに会社に病休を取得するために必要な診断書(5500円)も追加でかかる。かなりお高いけど、イギリスで子が熱を出した時、医療事情の話を聞いていたのでそれよりはマシだと気持ちを立て直す。(その話はまた別で書きます)

というわけで、無事帰宅しました。体力がかなり落ちている自覚があり、筋トレも来週からの再開なのでしばらくはゆるくゆるく生きていきたい。午後に仕事の会議を一つだけ入れていて、明日に向けてのジャブ的な感じ。在宅勤務なことはありがたいです。

症状としては、微妙な咳が残っているくらいかな。
あと毎晩眠剤をもらっていたので、今日から眠れるか不安。眠れなかったら、あの最初に行った内科で貰ってこようかな。(→普通に爆睡しました)