october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

「おかえり」と言える、その日まで―山岳遭難捜索の現場から/中村富士美

無限に続くと思われた夏休みが終わる。夏休みの宿題の整理と確認、明日持っていくものの準備、新しく買った上履きの名付けなど細々とやることが多い。子は夏休みが終わることには寂しさを感じているようだが、一方で学校で先生やお友達と会えるのは楽しみみたいで、ひと月半ぶりに見る名札にテンションを上げていた。よかったね。

一度しか来ない小学一年生の夏休みとしては、かなり楽しい思い出に満ちていたのではないかと思う。旅行。海水浴。磯遊び。じゃぶじゃぶ池。芝そり滑り。海賊との水鉄砲ファイト。BBQ。ミッションインポシブル。クレヨンしんちゃん。初めての友達とのお泊まり会。甥っ子との日々。チーズハンバーグ作り。工作教室。公営プール。ベランダプール。スーパー銭湯。スシロー。スプラトゥーン3。みそきん。貝殻拾い。

私は、毎日ハイボールを飲んだり、野田地図公演「兎、波を走る」を見に行ったり、句会に出たり、自問自答ファッション教室に行ったり、浜辺を毎日ランニングしたりしたのが楽しかった。しかし5月からの週1筋トレと、6月から週5ペースのウォーキング&ランニングを続けているのに数値に表れていないのは依る年波か。あるいは飲みすぎか。

発見の鍵を握るのは、行方不明者の「癖」。プロファイリングによる捜索実話。
「せめてお別れだけでもしたい」――いくら探しても見つからないという家族から依頼を受け、著者は山へ向かう。たとえ身近な低山でも、運命の分かれ道は登山道の随所に潜んでいるのだ。家族のケアをしながら丹念に話を聞き、プロファイリングで消えた足跡を辿る6つのエピソード。予防と早期発見に役立つコラム付き。

著者は山岳行方不明者遭難捜索活動および行方不明者の家族サポートを行う民間の山岳遭難捜索チームLiSSの代表であり、山岳看護師でもある。丁寧に家族から話を聞きながら、遭難者を探していく。山にまつわる色んな活動があることなどを知った。保険や登山届けの大切さ、登山計画を家族に共有しておくことの大切さなどが身に沁みる。

この夏も、海の遭難のニュース、山の遭難のニュースをたくさん目にした。まだ見つからない方が早くご家族の元に帰れますように。