october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

春のこわいもの/川上未映子

夫の誕生日だったのでケーキを食べた。ホールケーキではなくて、個別のケーキ。私の父が買ってきてくれて、私の両親とみんなで食べた。

 

私は物心ついた時からいちごのショートケーキが大好きだった。でも、子はケーキを全然食べない。少し前まではチョコケーキなら食べたけど、最近はそれもあまり食べない。こういう時は大体ドーナツを食べている。生まれながらにケーキもプリンもシュークリームもパフェもあまり好きじゃないなんて、そんなの、そんなの、ちょっとズルい〜〜と思っていることは秘密だ。とほほ。(今日はこのケーキを食べるために朝はプロテインだけで、昼は蒸し野菜とサラダチキンで過ごした)

 

コロナはドラマにならない。でも全ての現場を覆っていたんだなと思う。川上未映子の小説に出てくる人たちは、みなどこか完成されていないというか、揺れているというか、キャラクター然としていないところがとっても良いと思う。読んでいて、たまに辛くなるけど、すぐ持ち直す。全部好きだったけど「花瓶」が特に好きだった。一番怖いのは「淋しくなったら電話をかけて」で、なんか、自分は絶対にそちらには行かないと思っているけど行ってしまったらどうしようと感じる嫌なリアリティがあった。

生きるとか死ぬとか父親とか/ジェーン・スー

今年に入ってからほぼ毎日俳句を作っていて、それももう特に何も気負うことなく、気合い入れることもなく、さらっとメモ帳開いてとりあえずぽちぽちするだけという軽いものなのだけど、暇な時間に推敲を重ねているとけっこう楽しくなってきてしまって、けっこうたくさん句ができた。隙間時間は俳句を作るか、ロイヤルマッチをしているかのどちらかで、ロイヤルマッチをやめたらもっと句ができるのではとも思うんだけど、あの無であるような無でないような余白な時間も自分には必要なのかもしれない、とかよくわからないことを思いながら結局ロイマもやめられずにいる。

 

今年は自分軸手帳を使っていて、うまく使えているかはさておきウィークリーの頭のところに毎日俳句を書き込んでいて、それがけっこう気に入っている。見返すと割と楽しい。俳句も手帳も、この、見返すと楽しいというくらいの塩梅がちょうどいいのだと思う。

 

5日 ミニカバの赤ちゃんぷるん米こぼす

10日 串カツに円と球体ニット帽

15日 ばらばらと飴落としたる枯野かな

27日 行列の二度折り返し日脚伸ぶ

 

5日のは新年詠に出したやつで、ニフレルで見たミニカバの赤ちゃん。15日のは、朝、大きな公園をウォーキングしてたら大量にグミを落としながら走っていく女の子がいたので。つまりほぼ日記。

 

 

完璧な家族なんていない。どんな家族でも歪なところがある、とover the sunで語るスーさんの言葉が好き。切実で切ないけど、どうにもならないことが、明るかったりもする。over the sun 渋公2デイズは1日目だけチケットが当たったのでママ友と行ってきた。最高だった。今は2日目を配信で家事中に途切れ途切れ見てる。あの、夢の中の対決シーンが好きすぎる。笑

世界一過酷な場所でみつけた命の次に大事なこと/村田慎二郎

ヘアドネーション用に髪を伸ばしている。既にかなり長く、人生で一番くらい長いので、そろそろ切れるだろと思っていたのに、昨日美容院で「あと半年だね」と言われてしまう。来年の夏はせめて快適に過ごせるとわかったのはいいが、結んでもアップにしても持て余す長さになってしまって如何ともし難い。しかしこんなにロングヘアになるのは、おそらく最後だと思うので(もうこりごりだからだけど)、もう少しちゃんとケアして下す方向で考えてもいいんじゃないか?とも思わなくはないんだが、巻くのも苦手だし、乾かすのも苦手だし、もうどうしようもないわねぇという感じです。

 

そしたら身内に「えっ、なんでヘアドネーションするの?」って今更聞かれたんだけど、えっ、そんなの、別に私がしたいからでよくない?って真顔になっちゃった。というか、ここまでくるともう勿体無くて引き返せないんだよ〜。

 

ヘアドネーションする理由は色々あるけど、まあだから、色々だよ色々。自分の無力に対するヒリヒリした心があの日から髪の毛に宿ってそのままぶら下がっているんだ。こんなの、donateしたってなくなるものでもないだろうけど。いいんだよ。

 

オーディブル

 

国境なき医師団、なので、医師かと思ったら事務方のトップの人だった。しかし、事務方と言っても現場の話を聞くと、本当に色んな仕事があるんだな!?ということを、まず純粋に驚いてしまって、その新しい世界にむけた目が開くのが面白かった。新しいことを知るのは楽しい。今の私にはけっこう勇気づけられる内容だった。

らんたん/柚木麻子

最近、薄ぼんやりと新しい夢ができて、そのことを考えていると楽しくて仕方がなくなってしまう。まだ誰にも話してなくて、誰かに話したいけれど恥ずかしい気もしていて、でも何か少しでも動き出して、そこまで行けたらいいなぁということを考えている。一歩一歩。まずは、手紙を書くところから始めなければいけないな。

 

Audible.

恵泉女学園創始者、河井道さんと彼女を支えた渡辺ゆりさんの、明るさとお気楽さと楽しさと優しさと愛に満ちた長編大河小説。歴史上名前を聞いたことがある人たちがこれでもかと登場して、明治〜昭和まで豊かな色彩で描かれていて本当に楽しい読書体験だった。もちろん、楽しいばかりだけのところではないけれど、戦中の葛藤や苦しみや信念や妥協や、そうしたことまで具に描かれているのがとても良かった。娘が恵泉に入ってくれたら素敵だなぁ、なんて、思ってしまった親心である。