october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

文月の俳句

息が詰まるように続いていた梅雨が8月1日にようやく明けた。朝起きると窓の外には青空が広がり、ベランダの植物にはちゃんと日差しが当たってくれる。それだけのことで、胸の奥まで晴れ渡る気持ち。子とどこにも遊びに行けない、友達にも会えない、スーパー以外に買い物にも行けない、飲みにも行けない単調な自粛の毎日を続けてはいるものの、憂鬱の種が一つでもなくなったことを今は素直に喜びたい。

俳句てふてふへの7月の投句は33句。詠めなかった日もあるけれど、とりあえずならせば一日一句以上になるので良いとする。現在3級。評価が一番高かったのが28いいね、最も低かったのが8いいね。上位5句と、点数は微妙だけど自分で好きだった句を幾つか書いてみる。


ごめんねは水蜜桃の後で聞く

28いいね。色々と内省があった上で詠んだ句なので、決して家族と喧嘩したわけではないことは言い添えておく。水蜜桃って言い方は、私世代のオタクに刺さる気がしている。

炭酸の音のみ聞こゆ夏の夜

26いいね。子を寝かしつけに時間が掛かった後の本当に束の間の一人時間で、疲れ果ててぼんやりソファで炭酸水を飲んでいたら、そのパチパチという音が妙にしみじみと良かったので。音無い雨が振っている夜で、風もなければ、蝉の声もまだまだ無かった。

短夜に回転木馬の夢を見る

22いいね。これは過去の写真を見ていたら、夢のような回転木馬の写真を見つけたので。ルスツリゾートの遊園地ですね。去年の夏休みの旅行。あれから一年経ったけど、本当にしばらくは旅行はとても無理そう。寂しい。

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丸い脳四角い西瓜生み出した

21いいね。近所のスーパーに四角いスイカが入荷してた。あまりに立派な四角なので目をむいたのもあるが、何よりその値段にビックリしましたね。

短夜が永遠に感ずる子の病

20いいね。ここでも書いたが、うちの子は最近本当によくお熱を出す。3週間ぶり、6回目。特に最初の夜は、とても長く感じる。

以上が上位5句。次の二つはアガパンサスについて。アガパンサスは季語じゃないので、無季になってしまっているのだけど、どうしても詠みたかったのだった。

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アガパンサス異界を覗く無数の目

16いいね。見て感じたそのまんま。深い色味なのもそれっぽいなぁと。どちらかというと、向こう側から誰かがこちら側を覗いているイメージ。あちらさんにしたら、我々の現世が異界なのだ。

雨が降るように散りゆくアガパンサス

14いいね。アガパンサス、花や蕾が、まるで大粒の雨みたいにぱたりと落ちるので、散り際の音がけっこういいなと思って詠んだ。

というわけで、7月は以上。おそまつさまでした。


とにかく旧かなづかいや文語体がわからないので、今はこんな本を読んでいる。自分が文語体で作ってみたいというのもあるけど、むしろ文語体の句を読んだ時にすんなり理解できないのが悔しいので……。

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読みながら、ドイツ語で、名詞の男性・女性・中性(der / die / das)を暗記しなきゃ行けなかった苦しみを思い出している。


此処からはまた幾つか好きな俳句をご紹介。自分でも読み返すと楽しいのでメモして行きたい。出展はほぼ角川俳句8月号から。

暑さ全てロッケンロールあんこ炊く
赤羽根めぐみ

ロッケンロール!!!私も炊こう、あんこを。

八月の赤子はいまも宙を蹴る
宇多喜代子

句の背景とともに、8月に想いを馳せる。

鬼灯は未完の楽器魂まつり
八染藍子

色んな意味で好き。

冗談に交へる本音濁り酒
的場秀恭

あー、友だちと飲みに行きたいマッコリ飲みたい。

塩かげん薄めに今朝の豆ご飯
菅野孝夫

安野モヨコ「くいいじ」の、豆ご飯の回を読んだばかりなのでにやっとしてしまいました。

朝蝉よ若者逝きて何んの国ぞ
金子兜太

本当にそう思うし、昔から変わらず今もこうである気がして辛い。

天の川三途の川に合流す
将夫

どちらも空にあるようでいて、やはり三途の川は地下にある気もする。もしくは空から地下に繋がっているのかもしれん。昔行った霊場恐山にも三途の川はあった。じゃあ青森か。

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの
池田澄子

さらっとしてて、ふわっとしてて、ドキッとする感じが好き。


ちなみに角川俳句6月号は「俳諧味」がメイン特集だったのだが、そもそも俳諧味とは???という感じの初心者でも楽しめる文章がいっぱいあって、特に西村麒麟さんの以下の文章がとても好きだったのでメモ。

もし、この国の社会がますます悲惨な道を辿るなら、その時は俳諧が精神的な力になる人もいるだろう。地獄を地獄と嘆くのも良いが、地獄で笑っている人の方が涼しく見える事もある。今回例句とした作品を読み返すと、俳諧はどうも地獄に強い詩のようだ。

地獄に強い詩。とても好きなフレーズ。笑いの種類を意識するということは、小説でも参考になるかも知れないとも思った。

ふらんす堂友の会に申し込んでみた。楽しみ!

安野モヨコ展ANNORMAL

少し前、一人で世田谷文学館で開催中の安野モヨコ展に行ってきた。平日に休みを取り、最も電車が混まない時間帯およびルートを見計らい、時間指定前売り券で、最も人がいないだろう時間を狙う。もちろん文学館はマスク必須、そしてエントランスでは消毒&検温。

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会場内で、他のお客さんは二人しか見かけなかった。それぞれ単独で、黙々と鑑賞&撮影を繰り返していた。どれだけじーっと一枚の原画を見つめても、一箇所に止まっても大丈夫というのは新鮮な体験。平常時だったらすごい混んでただろうに、と思った。

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会場は全部写真OK、SNSアップOK。
それもあってTwitterでも何度もレポを見かけた。

展示は漫画やカラー原稿の原画はもちろん、大掛かりなパネルや演出がたくさんあってとても楽しい。

 

ハッピーマニア

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さくらん

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働きマン

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オチビさん

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鼻下長紳士回顧録

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美人画

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いやーもう本当に何もかもが眼福。展示もかっこよくてテンション上がるし生原稿も本当に素晴らしい。

ハッピーマニアとかジェリービーンズとか脂肪と言う名の服を着てとか美人画報とか、丁度20代前半くらいに読んでいたこともあって、安野モヨコはただ作品が好き!以上に人となりにも影響を受けている著者の一人だと思う。そのパワフルさも、おしゃれでダイナミックでえっちな絵も、大胆な画面作りも、時にえげつないほどの欲望の表現も、率直さも、緩急も、会話のテンポも、シンプルなのに確信を付く言葉も、もー何もかも全部好きだった。もちろん今でも全部好き。未だに忘れられないシーンや台詞が本当に多くって、もちろん他にもそう言う漫画はあるけども、ただ一人の作者で何作品分もそれが思い浮かぶっていうのは、私の中では安野モヨコ or 手塚治みたいな話になっている。

私はもうとにかくモヨコ先生が描く「ときめき」の描写が大好きで、これは恋愛のときめきなどももちろんあるけど、それ以上に、マメの洋服作りへの創作意欲が炸裂する妄想シーンだとか、モモが新宿でお買い物に行くシーンのときめきだとか、ミリちゃんがおうち改造で感じるときめきだとか、美人画報のごはんだとか美容だとかの表現だとか、ありとあらゆる日常に散らばっているときめき……が最大限に表現されるのに浸るのがすきなんだなぁと思う。

そしてばっさり、ツボを付く言葉。演出。綺麗なだけじゃないところも、人間のどうしようもないところも、同じペン圧で、もうそのパンチ力がすごいのだ。ノックアウト。そしてパワーワード。どこをどう切っても、弱さですら、強!!!!って感じ。好き!!!

一番好きな作品をあるいは女子キャラを選べと言われるとめっちゃ難しい。シゲタもフクちゃんもマメもモモちゃんも松方弘子もみんな好き。男子キャラはずば抜けて蘭堂が好き。

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最初に安野作品で鳥肌が立ったのは、ハッピーマニアのラストシーンだと思う。ハッピーマニアなのに、ようやくようやく辿り着いたタカハシとの結婚というハッピーエンドなのに、そう終わるんだ?というゾワッと感。それがビックリするほど気持ちよかったのは、それこそがこの漫画の主題であることが、全身全霊で「わかった」瞬間だったからだと思う。

今でもお話を書こうと妄想を広げる瞬間に思い出すのは、上にも上げたマメがイマジネーションを膨らませるシーン。ジェリービーンズは、高校時代の話も、専門〜パリ留学の話も全部大好きだ。ときめきと夢と欲望が詰まってる。パリでマメが「あの美味しそうなケーキ、夕飯にしちゃおうかな〜」って言ってるとこが好きすぎて、一人暮らし始めた時にケーキを夕飯にしたりした。

最初の会社で、仕事が一番辛かった頃は「働きマン」にめちゃめちゃ元気を貰った。自分には理解ができない、理解したくもない相手にだって色んな事情や見方があるんだということを、こんなに丁寧に書かれてはっと目が覚める想いがしたし、やっぱり、それでも前を向けない仕事は自分には合わないと強く思ったのは、転職活動のきっかけにもなった。

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この第一話の弘子の締めの台詞が、本当に本当に響いた。

ご本人も働きマンだ!と公言していたモヨコ先生が、十年くらい前から体調を崩しているのはもちろん知っていた。でもそれが鬱だったというのは、今回の展示会ではじめて知った。更に90年代後半には最初の鬱の診断を受けていたということも。

復帰作でもある鼻下長紳士回顧録は、第一話しか読んでいなかったので売店で買った。もちろん図録も。庵野監督のインタビューがとても良かった。黄泉夜間は断片的にしか読んでいなかったのが、図録に全編収められていた。まとめて読めてよかった。

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光が強ければ強いほど、影も濃い。また光が広範囲を照らせば照らすほど、色んなところで影ができてしまうものなのかもしれない。当時から、安野モヨコは自分の悩みや弱さを隠さなかった。すごい大人気作家でありながら、何となく親近感が沸くというか、身近で、欲望も失敗も弱点も包み隠さないパワフルなアネキ!!的な感覚。特に私の同世代はそう感じている人も多いんじゃないか。それが大好きなところなんだけど、そんな親しみやすさがあるからこそ、無礼なことを言っちゃう人もまた多かったのかもしれない。

どんなに親近感覚えたって、作者と読者の距離はめちゃめちゃ遠い。なのに(色んな皮をかぶった)悪意は性質的に届きやすい、残りやすいというのも難儀だ。でも、私のようなただの一読者が救いになるような何かをできるわけでもない。中傷から守ることもできない。賢しら顔でそういうもんだよとか、有名税だとか何とかいう人は、この期に及んでまだ居るけれど、率直にそういうのは嫌いだしダサい。でもじゃあ何ができるというのだ。受け取ったたくさんの元気を抱えながら、それを生きるパワーに変えていくこと?そんなこと、今までずっとけっこうして来たけど……それは私が先生に感謝するだけのことであって、何かをしている気持ちになるのも烏滸がましいのでは!?

等々。世田谷の緑いっぱいの道をマスクで歩きながら、そんなことを悶々と考えた帰り道であった。

今は会場で買った「くいいじ」を読んでいるので、読み終わったらまたなんか書く。お腹すいた。

長編を楽しく書くコツ(再掲+追記)

2014年に「長編を楽しく書くコツ」という文章をPrivatterに書いて、ちょっとだけバズった。(3000RTくらい)

 

かなり勢いとノリで書いた文章だけどそれなりに好評だったし、せっかくnoteを始めたのだから再掲しようかな、とは思っていた。とは言え、今は同人作家さんでも創作ノウハウやTIPSを公開している方がたくさん居るし、もっと整理されて丁寧な素晴らしいテキストは山ほどある。特段、目新しいことも書かれていないあの文章を今更アップしなくても良いかなと言う気持ちもあった。

だが、今回なんとなく読み返していたら長編うんぬんより「ぐわー!書きたーい!!」みたいな気持ちが盛り上がった。創作の参考になると言うよりは、もしかしたらプチカンフル剤的な文章でもあるのかもしれない。思い出してみると、当時もそういう言葉を多く頂いた気がする。長編を上手く書くコツではなくて、楽しく書くコツなのがいいのかも。なんにしても楽しいということはとても大事なことなのだ。少なくとも私はそう思う。

ありがたいことに今でもこれが好きだと言ってくださる方もけっこういて、マシュマロなどでも言及して貰ったりする。なので、やっぱり、せっかくだから、再掲することにした。

 

なおnoteからhatenaに移管したのでこれは再掲の再掲ですが文章はそのままです。

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【長編を楽しく書くコツ】

 

私は長編小説(二次創作)をメインに書いている同人字書きです。
フォロワーさんに「長編を楽しく書くコツってありますか?」と、質問いただいたのでちょっと考えてみました。
思いついたことを箇条書きにしてみます。

 

<長編を楽しく書くには!>

・プロットを書き出すより前にイメージを膨らませる
・とにかくその物語の世界に浸る
・テーマソングを何か決める(と気分が乗りやすくなる)
・これを書き上げないと死んでしまうと思い込む
・登場人物におもいっきり感情移入する
・同時にものすごい引いて俯瞰する、を繰り返す
・エピソードをとにかくたくさん盛り込む
・複数のキャラの物語を絡める
・伏線をたくさん入れる
・書きたいところから書いてってつなげる
・悲しい事件が起きた後のハッピーエンドという展開にする(カタルシスがでかくて気持ちいい)
・とにかく1本書き上げる
・とにかく何が何でも1本書き上げる
・長いのを1本書き上げると見える景色が違う
・終わらせる
・まずは1本書き上げてからだ
・1本書き上げて初めて長編を書く喜びがわかると思う

 

うーむ。
これを書いてて思ったんですけど、長編って書くのすごい苦しいじゃないですか。
苦しいんですよ。書いてる間、孤独だし。原稿期間長いし。
本当に激しい「こんなの誰が読みたいんだ病」「これ面白くなくない?病」を何度も何度も何度も罹患するし。
こんなに血を吐くほど頑張ったって、報われるとも限らないし!?
しかも長編って短編に比べて、なかなか読んでもらえない。
普通に、読むのが億劫だから。時間かかるから。
「ちょっとこれさくっと読めるから読んでみてー」って友達に頼むのもなかなかしにくい。
せいぜい「時間があったら読んでくれたら嬉しいな」って言える感じ。

 

だけどお話を書き上げた時の喜びってやっぱり長い話だと格段に違うと思う。
や、他の人はしらん。でも私は違うのです。
一万字の支部用の話を書き上げた時とコミケあわせの文庫十万字入稿した時の達成感は、もうまったく別世界なんです。
人様からそれが評価されるかどうかとかそういうのはもうこの際おいといて(どうでもよくて)
私が、自分ひとりの力で、こんな長い話を、書き上げた!
というのが、純粋に快感です。

 

日常生活の中で、なかなか、たった一人ですることでこれほどの達成感を得れることって少ないと思うんです。
同人ってその喜びを比較的得やすい趣味だと思うので、せっかく同人やってて、そしてちょっと文章書けたりするのなら長編書いてみたらいいじゃん、たのしいよって思います。

 

だから、とにかく長編を楽しく書くコツは、とにかく1本書き上げることだと思います。脳内麻薬が出て、中毒になります。
そしたら次から、苦しいのがちょっと楽になる。
そうすると書きやすくなるし自分の味みたいなものも出てくるだろうしもっとうまく書けるようになるし、何よりもっと長く書けるようになると思う。

 

今書けるのが、最大3000字ならまずは一万字。
二万字なら、まず四万字の長編書いてみる。
そしたら次は五万字。
何回かイベント出てコミケ出てを繰り返したら毎回十万字、十五万字ふつーに書くようになってるかも。

 

そして。

「その最初の1本を書き上げられなくてこまってるんだよーーー!!!!」

という場合の、コツも私なりに考えてみました。
もう余裕で書けるわって人はスルーしてください恥ずかしい。というかそう言う人にはここまで読まれていることが既に恥ずかしい。

以下は、高校生の時の私にアドバイスをするようなイメージで書きました。
気になりましたら、どうぞ。

 

<とりあえず一本長編を書いてみるためのコツ>

【プロット】
プロット三割とオチが出来たら書き始める。途中は書きながら考える。
プロットは変わるし完璧になるまでまったらなかなか書き出せないし、書きながらのほうが自分が物語に対する理解も深まり、話が上手く流れやすいと思う。
なおオチはざっくりでいいので「こんな感じで落とす」くらいのことは考えておくことをおススメする。
書き始めより、完結させる時のほうが胆力が必要で、しかもその時期のほうが体力気力も圧倒的に無い。(ランナーズハイみたいな状態ではあるかもしれないが)
なので、その時、投げ出さないように足がかりを作っておいてあげるのです。

 

【時間】
物語の時間の枠を決める。
その中で起承転結を割り振るとペース配分しやすい。
過去を絡めたりすると、絡ませるエピソードに幅が出るので長くなる。
全体の時間枠を始めに考えておくと、物語全体を俯瞰で見やすくなる気がします。あくまで感覚ですが。

 

【登場人物】
登場人物を増やす。メインCP二人に絡ませる準主役級のキャラを二人増やすだけで話は長くなる。
キャラは増やし過ぎると収集つかなくて死ぬので慣れないうちは気をつけましょう。

 

【起承転結】
起承転結のそれぞれの中にも小さな起承転結のような山を作る。
「承」でつまづく場合は、そこでキャラの背景や過去を出したり、回想を入れたり、伏線を貼ったり、そのための小さめのイベントを入れたり、自由にやってみる。転に繋げるための色々を書いてみる。

長編は「結」が決まると、途中が少しダラけても読後感が良くなるので、結の最後は気を使う。
オチは絶対投げない。解釈を読者に委ねない。物語が雑で適当に見えちゃう。
綺麗に落ちるので、最初に書くのはハッピーエンドがいいと思います。
メリバ・バッドエンドは上級者向けということを心得る。

 

なお、構成については、起承転結以外に三幕構成というのもあって、そっちの方が起承転結よりわかりやすいかもしれないので調べてみるのもおすすめです。
記事下部の追記で参考文献を紹介しています。

 

【物語が浮かばない】
二次創作なら物語が思い浮かばない時は童話パロを書いてみるのもおススメ。ベースとなっているストーリーがあるので書きやすいし、遊びも入れやすい。
複数キャラを絡める練習にもなる。できるだけ、エピソードは端折らないで丁寧に書くのがコツです。

あと上に通ずることではあるけれど、王道の物語には類型(パターン)があるので、その勉強をしてみるのも良いかも。読んだことがないので紹介はできないのですが、そう言う本もけっこうあるのでAmazonなどで探してみるのも手かと思います。小説の本より、シナリオ・脚本の本のほうがこの辺はたくさんある。

 

【文章】
文章が出てこなくなったら小説を読む。とりあえず活字を吸収する。
情景描写が苦手な場合は、好きな小説の情景描写を書き写す練習をすると、指が型を覚えます。
アクションもエロも会話のテンポも同じやり方で練習できます。
(そのままを使うのはもちろんダメよ)

 

【その他いろいろ】
・仕上がり気にしないでとりあえず浮かんだことは全部書いてみる。あとから削る
・R18シーンを2回以上入れる構成を考えてみる。
・「この話面白く無い」病は誰でも必ず罹患します。無視して淡々と書きましょう。
・上手くなったら書く、という考えは甘えだから捨てよう。
・だって書きたいんだもん!という情熱を忘れない。
・必ず、終わらせる。

 

一本仕上げた経験は、絶対に大きなプラスになります。
その反面、未完を重ねて行くのは「投げ出した自分」を重ねて行くのと同じなので、ゼロどころかマイナスです。

 

短編だろうが長編だろうが苦しみながらのた打ち回りながら作品を生み出す同志の皆様はあまねく尊敬します。

創作は死ぬほど苦しくてとてつもなく楽しい。
今日も原稿頑張りましょう。

 

 

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追記

 

そもそも私は昔、全然長編が書けないタイプの字書きだったのだ。

 

長編を書くのは長編字書きの才能がある人だけだと思っていたので、憧れはあったけど、長編を書こう!と、目標にしたことはなかった。当時はプロット作りもロクにしていなかったので、当然「よし!長編プロット作って取り組むぞ」となることもなかったし、あの頃は原稿で何字書いたとかそう言う話になることはあまり無かった気がする。そもそもTwitterが無かったから気にしたことが無かっただけかもしれない。私はただお腹の中に生まれた物語を外に出すことを愚直に繰り返していたら、いつの間にか生まれる話の多くが長編になっていた、というのが実のところだ。

 

それでも、時間は掛かった。今でこそ私は長編書きですみたいな顔をしているが、最初に10万字を超えた話を書いたのは9年前(アラサー)の頃なので(余談だがそれは何故か二次創作ではなくて、初めて書いたオリジナルでもあった)、同人始めて18年の活動歴の半分くらいだ。20代前半、あるいは10代からガンガン10万字選手だったみたいな話を聞くと、素直にすごいなぁと思う。(少し嫉妬もする。ちくしょうめ!)

 

まあでも色んな人がいる。何が正解ということもない。

 

書く量に規定がある新人賞に投稿する小説などは別として、趣味で書いている作品に関しては、文字数もページ数も本来は何でも良いはずだ。それらが作品の評価とも書き手の力量とも直結はしない。10万字書けたら偉いわけじゃないし、文字数はそんなに大事なわけでもない。そこは絶対に何度でも主張したい。物語によってベストな文字数というのは絶対にあって、それを無駄に引き延ばしたり、あるいは短くしたりとすることは意味が無い。むしろ浮かんだ物語に対してベストな文字数を尽くせることになることが、大事なことなんだと思う。

 

ただ、まあそれはそれとして、長いお話に取り組むのは楽しい。そして10万字超えると「うおおお!!いっぱい書いた!!」という達成感・満足感が得られて、それは本当にわりといいものなので、やってみたかったらチャレンジしてみるのがおススメ。という、趣旨で、この文章を書き、そして再掲しました。楽しく、がんばろ!長いは正義ではないが、楽しいは正義。

 

ついでにですが、私は小説の書き方などの本を読むとけっこうやる気を刺激されるのでここ最近(と言っても3年くらい)で読んだ中で、おすすめのものを幾つか紹介します。

 

工学的ストーリー創作入門 / ラリー・ブルックス

文章にまあまあ好き嫌いはあると思うけど、ベースとなっている三幕構成についてかなり詳細に、熱く説明をしてる本。私はけっこうわかりやすかった。やる気が出る!

 

感情から書く脚本術 / カール・イグレシアス

先日、友人の字書きエッセイ本にエッセイを寄稿させてもらったのだが、その時に頂いた謝礼でこの本を買った。そして読んだら、そのエッセイに書いたことと幾つか被ってることが書いてあって(タイトルの付け方など)「やったー!」となった。

 

ミステリーの書き方 / 日本推理作家協会 編著

色んなミステリー作家の、書き方や原稿に関するエッセイ。乙一先生が三幕構成の話をしている。読み物として面白いし、書き方に正解って無いんだなぁって改めて思える。

 

アイディアを捜せ / 阿刀田高

短編の書き方としては、阿刀田先生のこちらが面白かった。手法の取り入れ方や考え方がものすごく柔軟だし、なるほど、となる。

 

SAVE THE CATの法則 / ブレイク・スナイダー

これもめちゃめちゃ有名な本。類型を知るのにとっても参考になる。

 

 

そして、ついでにこちらもご紹介。

[電子版]わたくしたちの字書き読本 | ハナ

booth.pm

寄稿させてもらった友人の字書き本はこちら。
(私は「キャッチーさについて」書かせて貰いました)

長谷川ミオさん(@hanamio3)のTwitterでの字書きお悩み相談室(Q&A)がベースとなっているのだけど、書き下ろしのエッセイもめちゃくちゃ優しいし元気が出るしやる気がでる!!同人誌を作る人、字書きさんはもちろん創作する人みなさんにオススメ。冊子版は完売してるけど電子版があるのでぜひ!

大好きなお花サブスクサービス「霽れと褻」のこと

元気が欲しい時は、切り花を買う。
特別な時は通勤途中の駅ビルに入っているおしゃれな花屋さんか、大好きな地元の花屋さんで。それ以外の時はスーパーの花コーナーなどで。常にというわけではないが一年の半分くらいは、家の中に何かしらの花を飾っている。

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書いてた同人小説のキーアイテムだったアネモネ。オタクだから。

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スーパーのひまわりちゃん

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芍薬大好き

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スーパーのラナンキュラス

 

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たまには奮発して。大好きな花屋さんで。

 

ところがこのコロナ禍で外出自粛生活に入り、花屋はおろかスーパーすら滅多に行けなくなり、不要不急ではないかもしれない花を入手するのは困難になった。でもずっと家の中にいるからこそ、やっぱり花が恋しい。ベランダにもお花は咲いているけれど、やっぱり切り花の魅力は別だ。そこで最近流行っているっぽい切り花のサブスクサービスを探すことにした。

 

失敗だった1つ目のサブスク

花のサブスクが色々あるのは知っていたけれど、自分で花屋やスーパーで選ぶほうが安いし、好きなのを選びたいタイプなので利用したことはなかった。Twitterで繋がってる人たちで利用している人はけっこういたが、覇権サービスがあるわけではなく、それぞれ色々なサービスを使っているように見えた。なので、とりあえずはどれか有名所を試してみようと、インスタの広告に出てきた名前をよく見るサービスをぽちっと申し込んだ。広告のお花の写真はとても可愛かったし。初回無料と書いてあったので、好みに合わなかったら解約すればいいやと思った。

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初回で届いたお花。

この最初に申し込んだ有名な花サブスクサービスは、結論から言うと自分には合わなかった。しかも初回無料後、4回は継続しないとペナルティがあるということに申し込んだあと気付いた……。

毎週、近隣の都県のお花屋さん(私は毎回違った、同じ場合もあるらしい)がアレンジしたブーケとして届くのだが、届く時には大体萎れていた。ちゃんと水切りして花瓶に挿せば、翌日には回復していたけれど、「元気を貰いたいから花を買うのに、萎れた花を見て元気がなくなる」というのが、少し辛かった。

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届いたばかりのヘナヘナになってしまった花。茎は最初からこの長さ。

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活けると復活する。

ブーケは好みだと思えないものが多く、広告に掲載されていたサンプルと違いすぎてそれもちょっとがっかりだった。パステル色のガーベラ、カーネーション、スプレーカーネーション、カスミソウ、スターチスなど、スーパーにあるお花とあまり変わりばえがしない。少し傷んでいるものもあった。活けると、大体5日くらいはもつ。花のクオリティが悪い時の保障制度はあったけど、それは結局使わなかった。あとこれは個人的な好みの話だとはわかっているが、毎週「今週はこのブーケが届きます」って写真がメールで送られてくるのもあまり好きじゃなかった。楽しみが台無しになる……。(あれって喜ぶ人いるのかな?)

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とは言え、人気のサービスだし、手軽に花が飾れることは間違いない。好きな人は好きだろう。私には合わなかっただけだし、どんなサービスなのか、口コミ含めちゃんと調べずに勢いで申し込んだ自分が悪い。

はー、しかしやっぱり花屋で買うしかないのかな、と思ったが……(当時)お気に入りの花屋は休業していた。そして↑サービスが解約ができない期間と平行して別の花のサブスクサービスを探した。ちょっと懲りたので、同じような毎週ブーケで届くサービスは、一旦パス。日比谷花壇がやっているサービス「ハレノヒ」がすごい良さそうだなって思ったんだけど、そもそも店舗に取りいくサービスなので自粛期間中は無理だ。(会社のそばに店舗があるので、出社するようになったらありかも)

そんな中で、発見したのが「霽れと褻」だった。
ハレトケ、と読む。

霽れと褻(ハレトケ)と、花と新聞の定期便**

霽れと褻は都内でお花屋さんをやっている株式会社BOTANICが提供する花サブスクリプションサービスで、他の花サブスクとは違い「月に1回・3000円」コース一つだけ。花新聞が一緒に届く。詳細は、公式サイトからの以下の引用で。

霽れと褻 公式|毎月届く、花のある暮らし。季節の花と、花屋が編集する新聞の定期便。霽れと褻(ハレとケ)は、暮らしを豊かにする四季折々の花と、その花に関する新聞を毎月セットで届けします。花に触れ、花を知るこfaretoqe.com 
霽れと褻
https://faretoqe.com/

霽れと褻(ハレとケ)は、”farm to vase” をコンセプトに、良質な花を、最適な流通経路で、誠実な情報と共にお届けしています。花屋で手に入らない旬の花と、その花に関する新聞を毎月お届けする「花と新聞の定期便」を始め、新しい花の楽しみ方を提案します。

花と新聞の定期便

3,000円 / 月(税別・送料込み)

毎月届く花のある暮らし。
花屋では手に入らない旬の花と、その花のストーリーを知る新聞が、毎月ご自宅に届きます。
特集する花一つひとつについて、ちょっとした豆知識から、生産者の話、そしてその花の魅力を最大限に引き出す飾り方など、花屋の店頭ではなかなか知れないことを学べます。
花が届いた瞬間を彩るだけでなく、その後の花との時間をもっと豊かにしてくれる、花の定期便です。
花のある暮らしを充実させたい方、花のある暮らしをしたいけどなかなか実践できない方、忙しくて花屋に行けない方、様々なライフスタイルに寄り添います。

本当は元々申し込んでいたサービスを解約してから申し込もうと思っていたんだけど、Twitterやインスタを見ていたら居ても立っても居られず、前のめりで申し込むことに。

サービスの手触りって、なんかSNSからもわかったりする。これはもしかしたら、ものすごく良いものを見つけたかもしれない、とワクワクした。とは言え、前のサービスでがっかりしたこともあったから、期待しすぎないように……とも自分に言い聞かせながら、最初の号が届くのを待った。

2020年5月号 カンガルーポー

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5月16日、初めての「花と新聞の定期便」が届いた。2020年5月号は、カンガルーポー。全然聞いたことのない花だった。はじめて見るけど……すごい存在感がある。そして空間が一気におしゃれになった!一緒に入っていたワックスフラワーも可愛い!

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2020年6月号 百合

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6月号は百合だった。届いた時にはまだ全て蕾で、ゆっくり一つ一つ花開いていくのを楽しむことができた。百合を買って飾ることはあっても、こんな大量に、このボリュームで自分で買うことは絶対にないと思うから、ものすごい体験だった。香りもめちゃくちゃ良かった。

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2020年7月号 アガパンサス

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7月号はアガパンサス。今の季節、色んなお庭や玄関先で咲いているのは見かけるけれど、切り花を飾るのははじめて。間近で見ると小さな百合みたいでとても可愛いし、こっくり深い紫、淡いスミレ色、藤がかかった白など、色味の違いを見ているだけで楽しい。俳句もはかどる。

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霽れと褻の良いポイント

今のところ、ものすごく満足している。毎月楽しみで仕方が無いし、しばらく継続したいと思う。良いと思うところ、好きなところをまとめてみた。

・花のクオリティが高い

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Farm to vase つまり、農場から花瓶へ、と謳っているだけあって、とてもフレッシュで元気お花が届く。梱包も丁寧で、萎れていたり、傷んでいたりすることは絶対にない。持ちも良い。もちろん水を替えたり、水切りなどのお世話は必要だが、カンガルーポーとワックスフラワーは3週間飾っていたし、百合の花もダイナミックな姿を10日ほど楽しむことができた。アガパンサスは届いたばかりだけど、蕾の花もまだ多く、これから楽しめそうである。持ちが良いだけじゃなくて、姿もとてもきれい。

・花新聞が面白い

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一緒に届く花新聞はフルカラーで8ページ。広告は一切載っていない。内容は生産者インタビューや写真、テーマのお花の図解と水揚げの仕方や飾り方のコツなどが紹介されている。インタビューは読み応えがあって面白い。花農家さんのことを、今まで切り花を買っていてもあまり深く考えたことはなかったけど、この花新聞を読むようになってから、当然のように存在する生産者の人について思うようになった。色んな人生があって、色んな挑戦があって、綺麗なお花ができるんだなと思うと感慨深い。また、写真もとても綺麗だしときめく。毎回フォトグラファーの人が違って、その方の紹介コーナーがあるのも良い。できれば花新聞のバックナンバーを電子でいいから購入させて貰えると嬉しいな。

・サービスが親切

サブスクにありがちな「できるだけ解約させないようにする努力」は全く感じない。メールも必要以上は送られてこない。一方で、毎月お届けの日時間指定を事細かに聞いてくれるのが親切。いつ解約してもOKで、継続の場合は毎月最終日に「注文ありがとうございます」と翌月分の決済メールが届く。ポイントが溜まるわけではないので、いつ退会しても、戻っても大丈夫。一旦休会してからもまた申し込む時に気持ちよく始められる。サービス全体の距離感が心地よい。

・花への情熱を感じる

とにかく、これに尽きる。サービス全体を通じて、ただ「花が好き」以上の情熱、むしろ花オタクのそれを感じるのである。私もオタクなので……わかる……わかるぞ、推しへの溢れるばかりの想い。情熱ファースト故に、素晴らしいビジネスになっているという、一番の理想系な気がする。そう言うサービスって中々見つけるのが難しいから、出会えてよかったと心から思う。

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霽れと褻のマイナスポイント

私は大満足しているので、特に無い。だけどどういう目的でお花をサブスクするかは人それぞれだと思うので、比較する際に気になるかもしれないポイントを上げておく。

・花は基本1種類

その時の特集によっては、一緒に飾るグリーンやお花が少し付いてくる時もあるが、基本はメインの花一種類。なお、今のところ色は複数入っている。アレンジブーケになっているわけではないので、ブーケを飾りたい人のニーズには合わないと思う。花の種類は毎号決まっているので、好みじゃない花がくる月もあるかもしれない。その場合は、その号は解約するということもできると思う。その翌月の花が好きならまた申し込めば良い。

・背が高い花がくる

基本的に背が高いままのお花が来るので少し大きめの花瓶が必要。もちろん自分で短めにカットして活けたり他の花と合わせたりなど自由度は高い。そして花新聞に色んな活け方の参考例も入ってるのでそれも楽しい。でも小さいブーケで届いたものを、さっとコップや空き瓶で飾るくらいが丁度いいという人には向いてないかも。余談だが、水切り用のハサミは一本持ってるほうが良い。キッチンバサミでも切れるけど、お花用のほうが切りやすいし水揚げも良くなる。

・他のサブスクに比べて値段が高い?

個人的な感想で言えば、この内容で月1回3000円(送料込・税抜)は安いと思うが、「週1回500円」に比べたら高いと感じる人も居るかもしれない。でも私が入ってた別のサブスクのプランは「週1回800円プラン・送料別」で結局毎回1265円かかり、4回頼まないと解約ペナルティがあったので送料も含めて1月分で合計5060円支払った。そう考えると月3000円は高くないと思う。どちらのサービスでよりハッピーになったかは言わずもがなだ。

新規受付について(2020年7月21日更新)

花の発送数が上限に達したため新規申し込み受付を中止していたみたいだけど、21日より再開したようです。

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今後も新しい号が届いたらちょいちょい記事にして紹介したいと思う。
お花は不急かもしれないけど、自分にとっては絶対に必要なものなので。
贅沢品ではあるけれど、これからも愛でて行きたい。

 

おまけ。
百合の花が開く所をタイムラプスで一晩かけて撮ってみた動画。(Twitterは自分の別垢です)

 

おまけその2。
お花問屋さんで安売りのお花をいくつか買ってきたのでアガパンサスと合わせてみた。

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