october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

母という呪縛 娘という牢獄/齊藤彩

この前、友人と話をした時に、賞に落選が続くと、落ちた作品も良いと思って作ったのに良いと思えなくなってしまって、好きで作ったはずなのにそれが悲しいという趣旨のことを聞いて、ああーめちゃめちゃわかるなと思った。

賞に応募することは結構好きだし今年もチャレンジするつもりなんだけど、すごい自分で良いと思って書いていても箸にも棒にもかからないと(最近は大体そうなんだけど)、その書き上がった作品そのものも見るのが辛くなってしまう、みたいなことはある。別にそれが全てじゃないということはわかっていてもだよ。

だから、これはこれで足掻きの一つなんだけど、その戦いはその戦いで継続するとして、そこから自由になるための自分のための作品も書いていかないと書くことへのモチベーションが続かないなーみたいなことを最近本当に思う。それで書いているのが今のカクヨムに連載している話なんだけど、ペースは遅いし、プロットはやたらと広がってしまったし、書き上げれるのか!?と思わなくはないんだけど、そこで持ってくるのが昔取った杵柄で「お前ならできるだろー」と過去の私が明るく言ってくれるので、楽しくしがみついて書いている。まだまだ先は長いけど、読んでもらえたら嬉しいの気持ち。今日第三話(カクヨム的には第四話)アップしました。

 

深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、
「モンスターを倒した。これで一安心だ。」
と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。

(中略)

母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。
公判を取材しつづけた記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。
獄中であかりは、多くの「母」や同囚との対話を重ね、接見した父のひと言に心を奪われた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。
一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。
殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。

ニュースで見た、医学部受験で九浪した女性が母を殺害した話の背景を綴ったノンフィクション。オーディブルで聞いていたので、母と娘のLINEの履歴について、読み飛ばすみたいなことができなくて、延々と母からの一方的な罵倒を聴き続けたので本当に苦しくなった。教育虐待という言葉が広まって久しいけれど、その最中にいる当事者(加害者)には届かないし、その渦中にいる子供を救う手立てって、普通の暴力による虐待や、ネグレクトと違って、何もないんじゃないかと言うのが怖い。一体どのタイミングで誰がどう介入したら、あかりが助かったのかもわからない。それが本当に怖いなと思う。世の中に地獄はたくさんあるけれど、これも確実に切迫した地獄の一つだなと感じた。