october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

炎環 vol.500(2022年2月号)「炎環500号記念特集 私の好きな私の一句」より

2月って早く終わっちゃってズルいよ、の気持ち。3月に入っていきなり諸々焦り始める。子の歯が半月前からグラグラし始めていたのが、今日とうとうぽろんと抜けた。一歳上の甥っ子はまだ一本も向けていないので、人間の成長の個人差の激しさよ。私の頃は歯を屋根に投げたりしてたけど、最近は取っておくものだろうか。どうやら歯の妖精さんがきて百円玉に変えてくれるらしいのだが。

そういえば一昨年下顎の良性腫瘍の手術した時に抜いた歯二本、退院の時にくれたけど、こんなものもらってもなと思って捨ててしまったが、なんかがあった時のDNA鑑定につかえたのかもしれない。どうなんだろう。ああいうのって、みんなどうしてるんだろう。歯の妖精さんが万札にしてくれたら良かったのに。CHANELのピアスでもいいよ。二本だし。

 

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結社誌、500号。すごい。

500号記念特集「私の好きな私の一句」がとても面白かったので、そちらからいくつか鑑賞を書かせて頂きます。自句コメントが一緒に読めるのも、めったにないことなので、それもとても興味深かった。

 

緑立つチンアナゴだつてわりと必死 田辺みのる

わかるわかると思って、にこにこしてしまった。チンアナゴがゆらゆらしつつもちゃんと立っているの、背筋(?)が鍛えられそうと思って見てしまう。緑立つ、松の新芽はたしかにチンアナゴっぽいし、そしてそちらも必死に見える・・・。

 

ふるさとは崖の街なり夏の蝶 岡島理子

崖の街ってどんな街だろう、と想像してみると、そり立つ崖の上に広がる青空が見える気がした。力強く飛んでいる夏の蝶が、眩しくて愛おしい。理子さんのコメントもとても好きでした。

 

帰省子のまづは一杯富士の水 佐村晶

「高校を卒業後、三人の子供たちはそれぞれ家を離れた。学校が休みになると帰省してくる。親は「ただいま」の声を楽しみにしている。」という、コメント前半を読んで何だか泣きそうになってしまった。うちはまだ五歳だから、本当に、気が早すぎるんですけども。でもあっという間に過ぎ去っちゃうんだろうなって、改めて思ってしまって……。自分もそうだったから何にもいえないけど、帰ってきた子供も友達と遊びに行っちゃうから親とは遊んでくれないし。今は自分の時間が本当に取れなくて、子育てが大変な時期が過ぎた後の自由時間を羨む気持ちがあるけど、やっぱり今は今で集中していないと後悔するな、ということは常々思っているんだけど、改めてその「集中」に意識を向けさせてくれた一句でした。富士の水飲みたい。

 

セーターを脱ぎてセーターあたたかし 齋藤朝比古

脱ぎたての、じんわりとぬくいセーターの優しい手触りだとか、ほのかな体の匂いだとか、ふわっと浮かんできて、とても好きな句です。

 

逆立ちのできる妻なり冬銀河 渡辺広佐

なんかこう、妻の微妙なドヤ顔が見えるし、かわいいし、この場面を句にしている感性が好き過ぎる。季語が冬銀河なのも最高だと思った。仲の良いご夫婦何だろうなと思います。

 

さよならのあとのてのひら六花 常盤優

ひらがなと、手のひらの柔らかさがとてもあっていて、さみしくて悲しさもあるけれど、強さも感じて好きな句。優さんのコメントの最後「別れゆく人に降ったてのひらは、まだまだ仕事をしなければならない」という言葉が、とても心に沁みました。

 

 

500号について書くのがギリギリになってしまって、もう次の号が来ちゃうよ!と思ったんだけど、まだ今日は届いていなかったのでセーフ。(?)

私の好きな自分の一句は、前にブログに書いたことがある句なので、普通に投句したのから一句。

 

クリスマス三階に出る銀座線 三倉十月

 

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