october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

乳と卵/川上未映子

あっという間に梅雨が終わったと思ったら信じられないほど暑くなり一体なんなの今年はと思っていたらまたあっという間に梅雨のような日々が始まった。なんなの。

突然友を喪した事実とそれによって自分に開いた穴を試行錯誤しながら一部を少しだけ飲み込んで、とりあえず顔は上がるしジムにも通うし夕飯に何を作るかをぼんやり考えて暇だと思う余裕もあるくらいには、日々、と言う状態になってきた。慣れてきた、というほうが正しいのかもしれない。水滴が弾かれるみたいに全く言葉が自分の中に入ってこなかったせいでやたらと積んでいた小説や句集もようやく読めるようになった。それまではビジネス書や実用書ばかり読んでた。(それはそれで好きだからいいのだが)

「30代ごろからぽつぽつとたまに漏れてくる雨粒のように自分と関わりがあった同世代の人がこの世から退場していき、その雨は年代が上がるにつれて次第に激しくなっていく」と言うような言葉を、かつてどこかで目にしたことがあって。最初のぽつを感じたのは30代になる直前だったけれど、その雨粒を再び浴びて、いつかやってきて確実に雨となる日々のことを考える。自分だっていつか雨粒になる。それが思ったより早いのか、豪雨の一粒になるのかはわからない。祖母が亡くなった時に、祖母ととても仲のよかった近所の人もその半年前に亡くなったと聞き、なんとも言えない気持ちになったことを思い出す。

 

4月末に提出予定だった長編小説は、心が折れるままに半分まで書いたところで止まっているけれど、6月末には別の長編小説を提出できたので、とりあえず今年の前半何もできなかったと嘆かずに済んだ。ままならなさにべこべこになりながらも、書くのはやっぱり楽しいなと思った。

 

7月の頭に少しだけ那須の貸し別荘でワーケーションをした。シーズン前の人気のまったくない別荘地は鬱蒼としていて、昼間でもけっこう怖かった。

 

 

オーディブル
ひりひりした。テンポが良くて、耳が心地よい。緑子がかわいい。