october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士/スティーグ・ラーソン

部屋を軽く模様替えした。ものを捨てるのを進めているので、ようやくこの狭いマンションがかなりスッキリしてきた感じである。自分の本含め同人誌はほぼ倉庫サービスに送ったし、自問自答ファッションを始めてからは服もかなり減らせたけれど、やはりどうにもこうにもならんのが本で、毎回身を切る気持ちでなんとか本棚にスペースを作っても、息を吸って吐いてを3回繰り返すと再びみちみちっと埋まってしまう。

最近は買う本の八割くらいは電子書籍にしているのだけど、やっぱり紙で欲しいとなる本も一定数ある。マイナーな出版社の本とか、あるいは句集とか、紙でしか存在しないものも多い。一度読んだ本(紙の本)は、できるだけすぐに親や友人に貸して、できればしばらくそのまま持っていてほしいと願ったりもしている。そんな感じで、人様のところを回っている本が、漫画ふくめて多分数十冊はある感じ。親や同僚や友人を本棚にするライフハックだ。いやもちろん普通に、自分の推し本を読んで欲しいという気持ちの方が先だけども。なお図書館は少し苦手なのだ。返しに行くのが面倒だから……。

(配信会社の一存でデータを引き上げることができるという意味で)電子書籍は自分のものにならないからダメだという人の意見も、言わんとすることはわからなくはないのだが、家だって火事になったらおしまいだし、そもそも本棚に限度があるので、紙の本だけでやっていくには物理的な限界がある。じゃあ読む量を減らすか、テクノロジーを受け入れるかの二択なら、私は後者を前のめりで選ぶ。電子やAudibleがなければ出会えなかった本の方が圧倒的に多いので、テクノロジーばんざいと今のところ思っている。読んだ本の中から、1行でも、ひと言でも、一感情のかけらでも、何か残ったらいいなぁという気持ちで読んでいる。

 

宿敵ザラチェンコと対決したリスベットは、相手に重傷を負わせるが、自らも瀕死の状態に陥った。だが、二人とも病院に送られ、一命を取りとめる。この事件は、ザラチェンコと深い関係を持つ闇の組織・公安警察特別分析班の存在と、その秘密活動が明るみに出る危険性をもたらした。危機感を募らせた元班長は班のメンバーを集め、秘密を守る計画を立案する。その中には、リスベットの口を封じる卑劣な方策も含まれていた。 世界中に旋風を巻き起こした驚異のミステリ三部作、ついに完結!

ミレニアムシリーズが面白いのは物語運びやキャラクターや人物描写などがとにかくうまいからだと思うんだけど、それ以上に日常の動作の書き込みがとにかく緻密でそれをただ追って読んでいるだけで楽しい、というのも、個人的にはある気がしている。なんとなく、スウェーデンの暮らしを追体験しているような気分になるのだ。それはそれとして。良い意味でも悪い意味でもスウェーデンの幻想が打ち砕かれつつ、最後までハラハラする展開は相変わらずだった。スティーグ・ラーソンがこの世界的なヒットを知らずに亡くなってしまったことはやはり悔やまれる。やっと読んだぞという気持ちと、あーあ、読み終わってしまったという気持ちの両方がある。とにかく楽しい読書だった。