october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

シャイロックの子供たち/池井戸潤

イレギュラーな事態が起こると習慣が途切れてしまい、そこで此処まで続いていた良きものが終わってしまったりする。4月半ばに引いた風邪がそれで、年初からずっと続いていた朝必ず手帳をチェックしてTODOを書き込む習慣や、ハビットトラッカーをつける習慣が途切れてしまった。朝ヨガも二週間くらいろくに出れていなかったし、体重の記録や食事管理もなあなあに。創作の時間も途切れ途切れだったし、俳句鑑賞ツイッターも時間をあけてしまった。

なお、今こういうことを書いているのは、明日からそれを取り戻すという決意を表明するためだ。大丈夫、読書の習慣は途切れていないし、三行日記@インスタも続けられている。途切れても手繰り寄せれば、まだまだ取り返せる。たかだか二週間だ。そうだそうだ。と、自分を鼓舞しつつ、ペースを取り戻すゴールデンウィークにしたい。ひとまず今日は朝原稿をして、昼に子の自転車を買いに行き、夕方からマリオの映画を見た。自分の創作時間も、家のことも、家族との時間も取れた。いい感じだ。

 

映画館で予告を見て興味を引かれて手に取った。

半沢直樹」シリーズのドラマ化で大ブレイクした著者が、「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と語る本作。とある銀行の支店で起きた現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪!? “叩き上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上がらない成績……事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮らすことの幸福と困難さを鮮烈に描いた傑作群像劇。

感想としては銀行なんかで働くもんじゃないなってことと、映画と小説は(多分)かなり違うんだろうなということ。はっきりとした事件の真相は描かれず、外側からいろんな人物のエピソードを重ねていく中で薄ぼんやりと見えてくるものがあるような、煮え切らない中に、じんわりと人間味を感じるような小説だった。はっきりとわかることなんて何もないけれど、それでも一つだけ言えるのは、まあ……銀行なんかで働くもんじゃないなってこと(リプライズ)ですね。私の性格じゃ絶対無理だ。