october notes

俳句と小説と読書と記録と記憶

句具ネプリ vol.3 2021 秋

いつも参加させて頂いている、句具ネプリの秋号が出ました!
誰でも参加できる、秋の俳句のアンソロジーです。コンビニでプリントして製本するととってもおしゃれな冊子になるんだよ〜〜!!

 

好きな句をいくつか選んでみました。

 

霧のなか霧にならねば息できず 堀田季何
「人類の午後」の中でもよく覚えていた句の一つ。
「夜と霧」の文脈から離れた句として読んでも、
自分の境界が脅かされるような息苦しさを感じて、凄いなぁと思います。

 

うつかりと星座にされかけるきのこ 土井探花
可愛い……!空に飛ばされる寸前でしょうか。
うっかり神話に巻き込まれると大変なことになります。

 

無花果いづれも沼を向いてゐる 舘野まひろ
たわわに実る無花果の、だけど何処と無く怖い風景が好きです。
無花果って好きな季語で、食べ物としても好きなのですが
字面の不穏さも好き……。(白の王のイメージ)

 

「更地にて引渡」秋桜揺る 山田由紀子
良い思い出も、やな思い出も、家も、人も、いつか更地に。
揺れる秋桜が少し切ない。

 

美らの海静か八月十五日 白熊
沖縄の平和祈念展示資料館に最後に行ったのはもう十年以上前ですが、
展示を終えて出た先にある海と礎の回廊、そこから広がる海のことは
度々思い出します。

 

木犀のぐるりに金の魔法陣 ふらここ
金木犀の魔法陣なんて贅沢!
ぶわっと立ち上る香りが目にも見えるようで、
それは確かに魔法みたいだなと思うのです。

 

新涼やドイツ語の辞書立ち読みす 小澤ほのか
ドイツ語の硬さや、発音に気持ちSとNが多いところって
確かに新涼に合うな、と思いました。

 

満月の首都東京はウェハース 六文風鈴
満月の大きさと東京の取り合わせが好きです。
満月が立派なほど、"自然の一部"としての東京の町は
どこか脆弱というか、心許なさが確かにウェハースっぽいな、と。

 

着て脱いで途方に暮れて九月かな 采きりん
何を着たら良いのかわからない、そんな最近の自分を思い出しました。
クロゼットの前で途方に暮れるのはだいたい九月です。

 

台風のほぐれて雨の強と弱 西川火尖
確かに台風ってそういうとこある……!って
でもそれが言語化されて初めて気づいてはっと目が開く感じがありました。
天気予報やニュースで見る台風ではなくて
日常の中にある台風のよくある姿はこんな感じだなぁって。

 

十六夜やブラのたたみかた 検索 後藤麻衣
あ〜!ってなりました。
空白も含めて、すごく好きです。

 

十句選ぼうって思ったのに十一句になっちゃった。まだまだ好きなのいっぱいある。
装丁もとっても可愛くて、素敵な句がいっぱい読めるのでおすすめです。
俳句初心者だよ〜って人が参加するのもとってもおすすめ!次は冬至だよ〜!

 

天の川訳者で違ふ二人称 三倉十月

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秋号からネットプリントだけじゃなくて、PDFの無料DLできるようになっています!(期間限定)

ku-gu.com

 

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私が俳句を始めたのが2020年の6月頃で、最初は俳句てふてふに投句したり、俳句雑誌をちょっと読んでみたりということしかしていなかった。暦で秋に入った頃、ふと思い立ちTwitterで何人か俳句の人たちをフォローしてみた。そしたら流れてきたRTで、俳句の為の文具が生まれようとしていることを知った。それが句具との出会い。

 

句具の作句ノートは俳句作りにも小説のネタ出しにも使わせて貰っているし(サイズ感がすっごく良い!)、企画にもいつもお世話になっています。句具句会も句具ネプリも大好き!俳句への愛と情熱がいっぱい詰まっていて、好き好きってなるのでした。句具さんがいてくれる時代に俳句を始めれてラッキー☺